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恒例のメディコム・トイ2015年の上半期を振り返る 赤司竜彦 インタビュー

恒例のメディコム・トイ2015年の上半期を振り返る 赤司竜彦 Interview
既存シリーズの充実に始まり、よしもと芸人、『イン・ザ・ヒーロー』、[VAG(VINYL ARTIST GACHA)]や、怪獣芸術家ピコピコ氏、鬼才原型師あべ♨とおる氏の活躍がめざましかったメディコム・トイソフビの2015年上半期! そんな上半期について現在、安楽安作氏の新作製作に奔走する赤司竜彦氏(メディコム・トイ代表取締役社長)に振り返ってもらった! 「メディコム・トイのソフビ百科2015年上半期編 Part1」「メディコム・トイのソフビ百科2015年上半期編 Part2」とあわせてご覧ください!

1.2015年上半期のTOPICSについて

―2015年上半期を振り返っての感想をお願いします
赤司 (2015年上半期のリストを見ながら)振り返ってみると、各シリーズのコンテンツが充実してきている気がしますね。ああ上半期だから、まだ安楽(安作)さんが、入ってないんですね。上半期は安楽さんの段取りに奔走したことが個人的に1番印象深い気がします。ちょうど今年の頭ぐらいにお話をいただいて「金型はどこ?」とか「これは作り直さないと出せない」などのやり取りがありましたから。もちろんほかにも『イン・ザ・ヒーロー』やったり、昨年から続いてガッキーくんが膨らんできた感じとか上半期はおもしろいソフビが多かったですね。(上半期のリストをパラパラ見ながら)プロレス系が多いですね……(笑)。

―プロレス系は、2014年の下半期は[ワールドチャンピオンシリーズ]で、今回は[ソフビ・ファイティングシリーズ]が充実しているんですよ。
赤司 この充実度はライセンスで動いているスタッフが元レスラーだからかもしれないですね。もともとシリーズ立ち上げ当初「全てのレスラーの権利は、個別に口説きに行くしかない。となると、とてもメディコム・トイだけで出来ない」という意見が出ていたんです。ところがイングラムというライセンス会社に謙吾君という、ソフビが大好きな元格闘家がいて、実は彼が全て動いてくれたんです。やっぱり元レスラーが打ち合わせに行くと「おお謙吾、よく解らないけどお前だったらいいよ!」という感じでOKが出やすいんですね(笑)。ソフビのレスラーに関しては「謙吾君のおかげ」だと思いますね。

―そうなんですか!?確かにレジェンド系レスラーは団体も多岐に渡っているので直接、口説きに行かないとダメそうですよね。
赤司 はい、謙吾君が「一生懸命やりますよ!」って、全部個別に行って下さるので「ありがたいな」と思っています。

―ほかにも上半期はいろいろありましたので聞かせて下さい。[東映レトロソフビコレクション]のラインナップで『仮面ライダー』以外、これまでもありましたが、さらに膨らみが出てきた印象です!
赤司 実際、熊之森(恵/東映系ソフビ全てを担当する原型師)さんとやっていく中で、『仮面ライダー』シリーズだけでも10年かかるというお話をしています。でも彼は「ライダーだけじゃなく東映全部をやりたいんです!」ということで、とにかく情熱が凄いんです。だから体力が続く限り「お付き合いしようかな」という所ですね。毎回、このインタビューのたびに言ってますが「大丈夫なのかな?」って(笑)。まあ、元気にやって下さっているので大丈夫だと思います。『アクマイザー3』もありますし、まだ続けていけそうな気がします。ただ先日のワンフェスでなべやかんさんお会いした時「『快傑ズバット』から、もう出ないの?」と聞かれたのですが「ズバットと首領L以外は、ただ怖い普通の人たちだから出ないと思います」って笑いながらお話しました(笑)。

ー確かに(笑)。先日のワンフェスと言えば[東映レトロソフビコレクションM(ミドル)]で『超人バロム・1』も発売されましたよね。
赤司 『超人バロム・1』のミドルは熊之森さん、たってのリクエストです。今後はスタンダードも出ますよ。熊之森さんは「70年代の特撮キャラクターのソフビを全て保管したい」という思いが凄く大きいんだと思います。だから[東映レトロソフビコレクション]では、全東映ヒーロー&怪人がテーマなんですね。

―東映全般ヘの挑戦は[東映レトロソフビコレクション]が初ですから今後も期待しています!
赤司 頑張ります!

―次に昨年末からソフビ界で1番話題となった[よしもと芸人×メディコム・トイ]についてはいかがですか?
赤司 ちょうど川島(邦裕/野性爆弾)さんと佐田(正樹/バッドボーイズ)さんが『俺達バカ社長』という冠番組をテレビ埼玉でやってまして「そこで何かやりたいね……」という話も出ているので、解りませんがもしかしたら、もうひと転がりあるかもしれませんね。最近、竹若(元博)さん、川島さん、佐田さん、とても忙しくなってきてしまって、実は「打ち合わせ」や「反省会」、「あべ(♨とおる/原型師)さんと飯を食おうよ!」と言っているんですが、なかなかタイミングが合わなくなっているんです。

―春以降、動きが無いと感じていましたが[よしもと芸人×メディコム・トイ]は決して途切れているわけではなかったんですね。
赤司 ないです。皆さん芸人さんですから、忙しくなるのは良いことだと思いますし。

ーそう考えると去年、よく3人で集まる事が出来ましたね。
赤司 本当です。逆に今、昨年のようなことやろうとしても出来ない。昨年のタイミングだから出来たと思いますね。あの後、川島さんとお話しする機会があって「原型は5~6個造っているんです」と言っていたので今後も何かあると思います。

ー楽しみです!そして次ですが上半期も『イン・ザ・ヒーロー』などシリーズ以外のイレギュラー企画がありました。それはタイミング次第だと思うのですが、今後の展望などありましたら聞かせて下さい。
赤司 『イン・ザ・ヒーロー』に関して言うと、製作コンセプトは、主演の唐沢寿明さんがスーツアクター経験があるとか、原型をお願いした電人さんが過去に着ぐるみ製作の経験があるとか、そういう背景を存じ上げていたので「この組み合わせで出来ないかな?」と電人さんを口説いたんですね。おもしろかったのはDVD発売時に「プレゼントキャンペーン」をさせていただいたんですけど、見事にソフビ好きなご年配の世代からの応募が多かったんです。「今の若い子はDVDとか買わないのかな?」とか思ってみたりしましたね。あとイレギュラーでいうと、すでに発表しましたが『ど根性ガエル』をやります。6月の「MEDICOM TOY EXHIBITION ’15」に吉沢やすみ先生が遊びに来ていただきました。ちょうどテレビドラマも始まったタイミングですし「何かご一緒できたら」ということで。あとは金子ヨヲヘイ(MIROCK-TOY)さんが以前作ったという、ハゼドンの原型が「出てきたら良いな」と思っています(笑)。

ーハゼドンですか!?それは楽しみです!非常に贅沢ですがシリーズが充実した一方で「それ以外の何か……」という驚きは凄くソフビ者的に期待していると思うんです。今後もタイミングさえあれば何かが出てくる可能性は大という事ですね。
赤司 そうですね。イレギュラーに関しては、運と縁とタイミングかなという感じがしていますが、求められる気持ちもよく解るので、たまに「何かを編成に入れたい」という思いはありますね。

―そして次が[VAG(VINYL ARTIST GACHA)]です。第1弾は昨年ですが、今年前半に第2弾、第3弾が出て、話題的には大きかったと思うんです。
赤司 そうですね。第3弾に関して言うと、いちみや(忠義/サンガッツ本舗)さんが予想以上に……失礼(笑)。熟成肉ゾンビは想像以上に好評で、シリーズに貢献していただきました。ほかのお三方に関しては、予想した通りでしたが、本当にいちみやさんがんばってくれましたよ! 旧来からのソフビのファンの方々は、第3弾だとZOLLMENさんのマッドバロンと熟成肉ゾンビの受けが良くて、女の子はINSTICTOYさんのCURIOだったりーーこのCURIOも凄く貢献してくれたんです。そして雑貨方面でRESTOREさんのDRY HEADとか、振り返ると上手く棲み分け出来て、実にバランスの良い編成でした。そして発表されている第4弾ですが、ゴッコ堂さんのウンコツアタッカーとUAMOUさんのVAMOU、nopropsさんの青鬼とMAX TOYさんのバスターワン!ですね。今回も「バランスの良い、配置になったかな?」という気がしています。全然これからなので結果は見えてませんが、多分ソフビ者ならウンコツアタッカーやバスターワン!、UAMOUさんのファンはVAMOU、全くソフビじゃない人たちは青鬼と「それぞれのファンに響くかな?」という手応えがあります。

ー第4弾では、青鬼というかなり知名度の高いキャラクターの参加に驚きました。
赤司 たまに認知度の高いキャラクターを織り込みたいなと思いますね。今はもう第5弾の編成に入っているんですが、ちょっとおもしろい人が入るので楽しみにしていていて下さい! ありがたいことに色んな方から[VAG]への売り込みがあるんですが「あの個数を、この予算でやる」の本当に大変なんです。なんかこう、中国雑技団のように沢山のお皿を回して、こっちが回ると、あっちがグラグラしだして「危ない!」と思ってみたりするような気分なんですね(笑)。

―気が気じゃないですね(笑)。気が早いけど第5弾も楽しみに発表を待ちたいと思います! そして上半期で気になる所として、先ほど実在のレスラーシリーズについてお聞きしましたが、プロレス繫がりで[タイガーマスク復刻シリーズ]や[タイガーマスクシリーズ]などはどうですか? 正直、最近あまり当初の勢いがない印象なんです。
赤司 実は[タイガーマスク復刻シリーズ]は、今回発表したミスター?とジキル&ハイド以外、中嶋製作所(現・ナカジマコーポレーション)のオリジナルシリーズの残りが虎の穴の赤いマスクの支配者とグレートゼブラのふたつだけなんです。

ーあれ、もうそんなに復刻されていましたか!?
赤司 その後、当初からラインナップしていた、タイガーマスクの初期型黄色1期や、あと中嶋製作所さんの当時の広告にだけ確認されているハンドペイント風のタイガーマスクで大団円を迎えます。この一段落ついた所で、復刻シリーズと電人さん原型のシリーズを融合させて、アニメ版『タイガーマスク』にしか登場しないレスラーなど発売していく感じになるかな? 今の所はそんな感じですね。あとこれはまだ発表出来ませんが現在、謙吾君が奔走している件があって、ソフビ好きというより、プロレス好きにサプライズな発表が出来るかもしれないので楽しみにしてて下さい。

ー(内緒で聞いて)それはプロレスファン的には、超楽しみです。続報に期待します! 話は変わって次の話題ですが、ついに[GODZILLA VINYL WARS]が終了しましたね!  でもすぐ「EX」で再スタートしてしまいました(笑)。
赤司 続いてるんですよね(笑)。もともとこのシリーズは、アメリカでメディコム・トイの流通を担当してくれるダイヤモンドコミックさんのオーダーでスタートしましたが……もうM1号さん、ベアモデルさんにゴジラ系の金型がないですよ。そんな中、マーミットさんだけ、まだゴジラ関係の金型をお持ちなので、ダイヤモンドコミックスさんに「マーミットさんだけでも大丈夫?」と訪ねたら「ウエルカム!」だったので「EX」として続けましょうということだったんです。アメリカのファンは本当にゴジラがお好きみたいですね。契約自体は、まだ1年ほど残っているので[GODZILLA VINYL WARS]は「EX」で続きます。

2.最近の海外事情について

―前回のインタビューでは[TOY ART GALLERY]の生産ラインにトラブルがあり改善されたとのことでした。ただその後、特にリリースがないですよね?
赤司 メディコム・トイのオーダー分は、一通り入荷しましたが、その後の新商品は生産スケジュール的に怖い部分があるので、ご案内してない状況ですね。ただTOY ART GALLERYの日本人アーティストで、気になっていると以前このインタビューでも話したコムロタカヒロさんという方で、今回発表したダブルシンクという作品はやります。またKENTH TOY WORKSさんが造型された作品もあったので「せっかくだから一緒にやろう!」ということで、先日の「MEDICOM TOY EXHIBITION ’15」で[TOY ART GALLERY]モノとして展示しました。現時点では、そのふたつを予定しています。

―海外勢は上半期のコラボも多かった印象なんですがいかがですか?
赤司 セックストピゴンや、Tivaをご一緒したUKのUNBOX Industriesさんが「キーとなる一社かな?」という感じがしています。海外勢でいうと日本でLULUBELL TOYさんがソフビ生産を受けていますが、このラインとは別にUNBOX Industriesさんが海外勢のキャラクターモノの生産の受け皿になっているんです。そしてUNBOX Industriesさん自身も、セックストピゴンとアーティストのアートピース的なものもやりながら、Tivaという映画作品もやっている。

―Tiavには驚きました!
赤司 私もこれには驚きました。UNBOX Industriesさんがマーチャンについて何も知らない映画会社へ行き、1から説明して実現させたと言っていました。今、メディコム・トイでお付き合いのある海外勢は、大きく分けるとTOY ART GALLERYさんと、生産を請け負っているLULUBELL TOYさん、そしてUNBOX Industriesさんですね。そこからメディコム・トイが国内発売の受け皿をやっているという感じですね。上半期でコラボした、SECRETOYさんのCinema Monster BetaやSKINNERさんのOGOS、MORGOGGはLULUBELL TOYさんのラインでした。

―その中だと失礼な言い方ですがUNBOX Industriesさんが1番生産が安定している印象ありますね。
赤司 もともとUNBOX Industriesさんは、別の社名でビニールスタチューなどを展開するなど、はっきりとした生産ラインを中国に持ってらっしゃるんです。それがあった上で、自社ブランドでアートピースっぽいモノをやりたいということからUNBOX Industriesとしてスタートした背景があるんですね。社長さんと話したんですが、凄く意欲的な方でおもしろかったですよ。

―繋がったきっかけは何だったんですか?
赤司 コンタクトをとってきたんですよ。最近、海外のサイトなどでよく目にする、今まで見たことのない日本のソフビっぽいモノは、だいたいUNBOX Industriesさんが生産されていることが多いですね。

―上半期に海外勢とのコラボが目立ったのはそういう理由だったんですね。また海外でいうと最近、アジア勢に勢いを感じるんです。
赤司 確かにそうですね。仕上がりも日本のキャラクターモノより細かい仕上げで制作費がかかっていることが多い。ウチで発売したKINGDOM COMEさんのコブラも、生産はUNBOX Industriesさんでしたね。これは多分、こうした日本製のソフビにネットなどで触れていく中で、彼らなりのアンサーなのかなという気がしているんです。だから凄くおもしろいと思っています。

―結局そういう動きはCJマートなど、海外にも販路を持つメディコム・トイさんの功績が大きいんじゃないでしょうか? 海外で日本のソフビを目にする機会は以前と比べて圧倒的に多くなったと思うんです。
赤司 機会は増えたと思います。特に[MARVEL RETRO SOFUBI COLLECTION]や[DC COMICS RETRO SOFUBI COLLECTION]は、もう世界中で買える背景があったので、そういった中で相互に影響しておもしろいと思っているんですけどね。

―そうした海外勢のメーカーが、真の意味で凄く日本のソフビを一般に広げてくれるのでは? という期待もあります。
赤司 少し話がそれますが先日のワンフェスで、アストロガンガーの超合金を展示しました。あれは韓国メーカーさんなんです。ある日、訪ねて来られて「ガンガーの超合金をぜひ!」ということで「大丈夫ですか?」という話になったんですね。韓国で『アストロガンガー』は、かなり早い時期から放映されていたそうです。訪ねてきた方、みなさん30代後半なのでリアルタイムなのか聞いたら、全然違うということでした。でも、そんな彼らが子供の頃、おもちゃのジョウロなど全部にアストロガンガーがプリントされていたらしいんです。そこからの刷り込みでアストロガンガーだったんですね。韓国でアストロガンガー、あと先日にワンフェスで大きなレッドバロンを発売していた香港のMAIZEさんとか、おもしろいですよね。

―国が違えば、また日本とは違う受け方があるということですね。
赤司 超合金のアストロガンガーを作ったチームは、今度ソフビで全高60㎝のアストロガンガーを作ると言っていました! もしかしたらそのうち「東京そふび道」で60㎝のアストロガンガーが紹介されるかもしれません(笑)。

―もうなにがなにやら……でも、それは楽しみです(笑)。
赤司 日本でのムーブメントと、こうした海外勢の動きは、呼応しているようで当たり前ですが、そのお国柄で色んな部分が混ざりあって、例えば日本のラーメンが中国のラーメンと全然違うように、向こうのソフビって微妙に日本とは違うんですね。

―先ほど出たKINGDOM COMEさんのコブラも驚かされましたが、これはタイのメーカーさんですよね? そういう国でこういうソフビを作ったということがおもしろいですね。
赤司 KINGDOM COMEさんは、UNBOX Industriesさんのご紹介でしたね。確か冬のワンフェスでブースに遊びにきてくれました。タイというと個人的に思っていることがあるんです。アストロガンガーを作ったチームの子たちに聞いたら韓国で今は、法律でPVCが使えないそうなんです。つまりソフビのスラッシュ成型が出来ないんですね。また中国や香港は、生産性が悪いということでどんどんソフビ工場がクローズしているんです。そんな中、BLObPUSさんが1回、タイのアーティストソフビを彩色していましたよね。それがメイド・イン・タイかどうか、解らないんですが、以前メディコム・トイの社員旅行でタイへ行った時もしょうもないソフビのおもちゃんが沢山あったので、タイにはスラッシュ成型の技術がある。その技術が向上すれば、もしかしたら日本のお家芸である、スラッシュ成型がタイに飛び火してくれるかもしれない。日本でも実は少しずつ成型工場が増えているという嬉しい背景がありつつ、この先タイなどもっと南方の国で新しいスラッシュ成型の工場が出来てくれると、それはそれでおもしろいと思っているんです。

―生産の部分でも世界に広がっていく可能性がある。それは楽しみな展開ですね。
赤司 あるかもしれないですね。

―あと、海外事情ということで、すでにいくつかのメーカーさんはお話に出てきましたが、それ以外で初コラボだったメーカーさん、SnatchpunchCreatureCartelさんのボスタイラントについてもひと言いただければと思います。
赤司 この方に実は会ったことないんです。Snatchpunch Creature Cartelは、タトゥーアーティストで彼がデザインして、それ以外に造型作家がいるみたいな集団で、これも生産ラインはLULUBEL TOYさんだと思います。これは確か最初Instagramで見て「溶けた感じ不思議なデザインだな……」と思ってコンタクトを取ったら「やろう!」という感じでしたね。

―やはりInstagramは役に立ちますね!
赤司 そうですね。

3.国内の作家&メーカーさんについて

―次は国内についてですが、やはりあべ♨とおるさんとピコピコさんの活躍が印象的でした。
赤司 とにかくおふた方とも精力的という印象でした。あべさんに関して言うと「もっとやりたい!」という情熱がもの凄く、作品と一緒に彼自身を牽引した印象があります。この先も色んな編成を組んでいますが、ビックリするモノが沢山出てきます。9月1日発表だとイデオンとダグラムで、ついにサンライズに入りましたね。あべさんと「せっかくここまでロボットラインが広がってきているし、普段ファンがなかなか手に取れないモノをやっていこう」と、イデオンやダグラムになったんですね。まだまだ多分、あべさんは突っ走り続けるだろうという感じです。反面、ピコピコさんに関して言うと、アーティスティックなイメージがあるから、この先の[VAG]でもキャスティングしていますし、今度発売になる輪廻や、それに続く新ラインを準備していただいてます。ほかにも恐らく決まると思いますが、来年公開予定の某作品にキャラクターデザインで参加すると思うのでがんばってほしいと思っています。あべさんは努力の人、ピコピコさんは割と天才的な方向ですから、そこを上手くメディコム・トイとして商品の出し方とか、編成の組み方とか、互いの資質に合った形で作っていければ良いな、と色々と裏で暗躍しています(笑)。

―ほかに赤司さんから見て気になる作家さんや原型師さんが現在いたりしますか?
赤司 そうですね。国内だとJUNGULさんから出てきたkaiju artist DANさんが、もうひと押し……次作か、次々作あたりで“パンッ”とブレイクしそうな気がしています。ほかにもJUNGULのかけるりさんの「3作目はどうなるのかな?」などですね。かけるりさんは、上手いとか下手とかではなく「なんかおもしろそう……」と感じています。今後、意外と化けそうな気がしているんです。あとアーティストだとMAX TOYさんがソフビ化したキブナドンをデザインされた照紗さんが次に何をやるのか気になっています。

―なるほど! 海外で気になっている方はいますか?
赤司 今どうでしょう……先ほど言ったキャラクターモノということでアジア勢の動きがありつつ、例えばPaulKaijuさん、SKINNERさん、M.V.H.のように活躍されている方は、特にここ半年はちょっと見当たらない感じがします。わりとこの3人が3大巨頭っぽい感じがして、4人めが誰かな? という印象ですね。

―確かにその印象は解ります。それでは次に国内で初コラボだったメーカーさんについて一言づついただければと思います。まずPopSoda/RESTOREさんのFOGですね。RESTOREさんは初ではありませんが、PopSodaさんは初ですよね。
赤司 そうですね。FOGはもともと「RESTOREさんの原型が良いな」から始まった感じでした。廣田彩玩所さんが「やります」と彩色を受けていただけたことで「PopSodaさん、RESTOREさん、廣田彩玩所さんのトリプルコラボになるね!」という感じでしたね。FOGは、廣田彩玩所さんがお忙しいこともあり、もともと生産数が決まっていたので抽選販売にしたのですが、応募がたくさん来たので「もっと作っても良かったな」という感じでしたね。ウチのバージョンを含めてFOGは、まだ3色ぐらいしかやってないと思うので、まだまだ伸びシロがありそうですよ。シリーズでは次の新作も発表されているので、これからが楽しみです!

―次がDELTA VINYLさんとKTさんです。
赤司 どちらも突然、売り込みに来られてビックリしたんですけど、DELTA VINYLさんに関しては、可愛いからお付き合いしましたという所でした(笑)。なんか彼、噂だと第2弾でタコのようなモノを作っていると聞いていますので、来年の資料製博覧会に合わせるのかな?なんて勝手に想像しています。そしてKTさんですが、おもしろかったのは、アトミックコングは海外の受けが凄くて、抽選販売に沢山のご応募をいただいたんですよ。RAMPAGE TOYさんが「あれは塗りたい!」って来てくれたので「じゃあ半分づつシェアして発売しようか」という話をして、彼が今、一生懸命に彩色してくれています。

―海外勢に受ける魅力があるんですね。それにも期待しています!

4.今後の予定について

ーー今後、予定している新作など開かせる範囲でいいので聞かせて下さい。
赤司 佳境に入っているのが「MEDICOM TOY EXHIBITION ’15」で発表した安楽さんの龍で「どうソフビにアレンジするか?」という作業を一生懸命やっています。パーツ数はある程度、ソフビのメソッドの中でやりたいけど、あの形状は成型で抜けない(笑)。もともとラテックスで作ったモノをデジタルスキャンして、スタジオで補正をかけ、安楽さんやウチも「これは素晴らしい!」という形状まで行ったんです。ただPVCなら問題なく出来るけど、ソフビっぽいアレンジを本当に詰めている最中なので、恐らく数ヶ月後、皆さんにお披露目した時「ああ!こうなったのか!!」とおもしろがってもらえたら「いいな~」という感じですね。本当に「この位置を少し前へ」とか「この位置をもう少し後に」とか丁々発止で毎日のようにデータのキャッチボールをしています。また今後の新作、おばけくじらのティアマトとケイトスという2作がワックスに入ります。これはもう非常に安楽さんの系統でファニーではなく、怪獣ラインだったので「さすがだな」という感じでしたね。

―安楽さんの作品は時を経ても、造型のポテンシャルが変わらない印象が強いですよね。
赤司 凄く自然体ですね。お仕事をして楽しいです。多分、あべさんや、ピコピコさんもそうですけど「どこからどこまでをどちらがやる?」みたいな、お互いの仕事の職域が決まるまでは、凄くキャッチボールが多いですけど、決まってしまうと、互いを信頼して仕事が出来ますからあとはスムーズですよね。ちょうど安楽さんとは、そんなキャッチボールをしている最中で、大変だけどとても楽しいです。ただ、この作業はあまり同時に沢山は無理ですね。今はそんな感じでしょうか(笑)。
(8月6日/メディコム・トイ本社にて収録)

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