ピコピコ
■奇妙奇天烈なぬいぐるみ、怪獣人形・着ぐるみを続々と生み出し、世の常識に揺さぶりをかける。「怪獣」を芸術の一ジャンルとして確立すべく奮闘。キャラクターデザイン、立体製作から芸能活動まで様ようなジャンルで表現を行っています。
ーー［VAG］は今回で3回目の参加です。すでにメディコム・トイの赤司代表インタビューで語られていますが、きっかけは映画『少女椿』ですよね。どのような経緯で参加することになったのか教えて下さい。
映画への参加と言っても、キャラクターグッズ制作で関わらせて頂いているだけですが、そもそも別件でメディコム・トイさんに打ち合わせにいった時に偶々『少女椿』のプロデューサーの方とご挨拶をしたんですよ。その時に赤司さんが「映画『少女椿』グッズは、ぜひピコピコデザインで！」とボクを推薦してくれまして。始めは冗談かと思ったんですが、本当にやることになってしまいました。やった～!!
ーーそこでは原作者・丸尾末広氏のキャラクターをピコピコさんがリファインされています。リファインされるにあたって、コンセプトや気をつけた事などあれば教えて下さい。
丸尾末広さんの退廃的な世界とピコピコの賑やかな世界は、あまりにもかけ離れていますよね。なので、へたに世界を近づけても中途半端になるだけだと思い、思い切りピコピコ流でポップにアレンジさせていただきました。
ーーそして3回目となる［VAG］で、ピコピコさんが製作したのは、主人公のみどりちゃんではなく、ワンダー正光でした。チョイスの理由を教えて下さい。
普通に考えたらみどりちゃんですよね。でも、ただ美少女の人形が出てくるだけじゃ「ガチャガチャとしてのおもしろさに欠けるんじゃないか？」と思ってしまったんです。それで、映画や原作で印象的だったワンダー正光の人体瓶詰め曲芸に目をつけたのです。ガチャガチャの小さなカプセルに小人がちんまり丸まって入っている様子は、そのまま劇中の名シーンを再現しているかのようです。あと『少女椿』の主役はワンダー正光だと思っていて、大好きなキャラクターなんですよね。そんな個人的な思い入れもあったりします。
ーー原型製作時にこだわった造型ポイントなどあれば理由と共に教えて下さい。
ガチャガチャカプセルの中に人形がみっちり入っているような“固まり感”は意識しました。あとは、掌の中でいつまでもいじっていたくなるような“形の心地よさ”。デザイン面では、丸尾末広さんとピコピコの僅かな共通項と言えるかもしれない“レトロ感”を手がかりに、昔懐かしい広告キャラクターのようなアレンジで纏めてみました。凹凸の効いた顔の立体感や、デフォルメされきらない体の写実性なんかに、現在は失われてしまったオールドスクールな表現方法を取り入れているんですよ。
ーー今回の製作に関して、何かプレッシャーはありましたか？ あれば理由と共に教えて下さい。
今回お話を頂いた時から、「どうすりゃいいんだよ!!」というプレッシャーがビンビンにありましたね～。丸尾末広さんに関しては、実は学生の時の卒業論文が「丸尾末広論」だったくらいのファンなので「変なアレンジのグッズなんかいらね～！」という気持ちが痛い程わかるんです。で、悩んだ結果「“おもちゃとして良い物”を作るしかない！」と決めて、自分を信じて突き進みました。とても良い物ができたと自負しておりますですよ～。
ーー今回は5色あります。色決めの基本コンセプトと、色バリエーションの理由を教えて下さい。
今回はいつもの派手派手なピコピコ色ではなくて、形から自然と導かれる配色に従いました。ノーマル、悪魔風、黒人ミュージシャン風、白塗り、宇宙人てとこですね。どれも良くはまってると思います。
ーー実際にソフビサンプルを見た時の完成への手応えなどあったら聞かせて下さい。
実は原型の時はガチャガチャカプセルに入らない大きさだったので、ちょっとドキドキでした。ソフビは行程を重ねるうちに縮小していくので、計算はしていたんですが……。無事、収まったので良かった～！
ーー最後にファンへのメッセージをお願いします
今回は特に『少女椿』ファンの方がソフビに触れるきっかけになることが多いと思います。ぜひ、これを機会に「ソフビ、おもちゃの世界の楽しさ」を知ってほしいですね。逆に、このガチャガチャから映画『少女椿』、そして原作漫画に興味を持つ方もいらっしゃることでしょう。気になった皆さん、劇場に足を運びましょう！ 漫画を買いましょう！（宣伝、宣伝!!あはははは）
