新機軸の[ワッキー 怪獣 レーシング]として「ジェットジャガー 機関車」「ヘドラ レージングカー」「ゴジラ1962 クラシックカー」
「ワンダーフェスティバル2024[夏]」でサルジルシを取材! ここでは「ゴジラ2016(シン・ゴジラ) 第4形態 ソフビ」「ゴジラ1995(ゴジラvsデストロイア) ソフビ」「ゴジラ1964(モスラ対ゴジラ) ソフビ」「ゴジラ1962(キングコング対ゴジラ) ソフビ」「ゴジラ1954 ソフビ」の各新色に加えて、新機軸の[ワッキー 怪獣 レーシング]として「ジェットジャガー 機関車」「ヘドラ レージングカー」「ゴジラ1962 クラシックカー」を当日ライセンスで発売。注目はいずれも原型をヤマダマサミ氏が手がけているところ。氏はフリーランスのライター、モデラーとして古くから活躍するソフビ界の重鎮原型師。もともと1960年代マルサン、1970年代ブルマァクの未発売怪獣ソフビ保管計画をスタートさせた西村祐次氏のM1号で初期「ラゴン」や「リトラ」などの原型を担当。また1990年代中頃からスタートしたホビーブームで各メーカーから発売される、デフォルメタイプ怪獣ソフビで数多くの原型を製作するなど活躍。近年はメディコム・トイでも[ヤマダマサミワークス]をスタートさせ、sofvi.tokyoでも何度も紹介させていただいた。間違いなく、現在まで続くデフォルメタイプの怪獣ソフビを新たにスタートさせた功労者のひとりなのだ! そのため現在、氏が原型を手掛けているサルジルシは見逃せないのだ! そしてこの日ブースへ行くと、なんとヤマダ氏本人がブースに!? なんと海外メディアの取材を受けるため待っていたが、まだ記者が来ないという。では取材を待つ間、ひとことコメントをいただきたいと伝えると、ヤマダ氏はご自身のキャリアを話し始めてくれた! 手がけた原型や、サルジルシとの出会いなど、ちょっとおもしろかったので「番外編レポ2」として紹介させていただきます!
「ゴジラ2016(シン・ゴジラ) 第4形態 ソフビ」
「ゴジラ1964(モスラ対ゴジラ) ソフビ」「ゴジラ1995(ゴジラvsデストロイア) ソフビ」
「ゴジラ1954 ソフビ」「ゴジラ1962(キングコング対ゴジラ) ソフビ」
■ヤマダマサミ氏の原型製作ヒストリー
右からマルサン「バラゴン」、M1号「ラゴン」、マーミット「デスゴジ」
テレビの『ウルトラQ』(1966年放送)怪獣はグロテスクだから最初は絶対に売れないだろうと言われていました。そこで当時マルサンだったいしづき三郎さん(現・ブルマァク)は、かわいい造形にしようと河本武さんという、名古屋で瀬戸物の原型師だった方に依頼したんです。その方はキューピー人形や銀行貯金箱、動物人形などを手がけていた方で、怪獣をアレンジしてもらったんですね。代表的なのが、この「バラゴン」です。私と怪獣ソフビの出会いもこの「バラゴン」で、幼稚園の時に買ってもらったんですが、出来が素晴らしいですよね! これはハト胸、でっちりのキューピー人形のバランスです。子供が手に取った時、手に馴染みやすい。それはS字曲線が中にあるからなんですね。ビリケン商会の三原(宏元/ビリケン商会代表)さんによれば「ハマ(ハヤオ/ビリケン商会製ソフビの多くを手掛ける大人気原型師)さんは、今見ても『ガラモン』が素晴らしい!」と言っていたというんです。これはわかる人はわかる……ハマさんには、そのS字曲線がわかるんですよね。
1990年代に西村(祐次)さんがM1号で、1960年代マルサンや1970年代ブルマァクから未発売の怪獣ソフビを補填するシリーズを始めます。そこで私は最初に「ラゴン」を作ったんです。そのシリーズ第1弾としては「ケムール人」が発売されていましたが、私はそれをみて個人的に「ちょっと違う」と思っていました。「ケムール人」は「バルタン星人」を踏襲していたんだけど「ラゴン」はハト胸デッチリで顔は「ガラモン」と同じに作ったんです。実際の着ぐるみを造形したのは、高山良策さんなんですが、「ラゴン」と「ガラモン」は結構似てるから「ラゴン」に当てはめたんです。まあそんな外れたものにならない。同じ理由で「ゴメス」の顔を当てはめた「リトラ」も作りました。
何回かM1号を手がけた所で今度はマーミットから『仮面の忍者 赤影』の原型を依頼されたんです。この時期、ライター仕事が1番、大変だったんですが「ほかに作る人いないから……」とか言われて。それから10年ぐらいはマーミットで原型を作ってました。これがその時、アメリカで1番売れた「デスゴジ」です。
左から怪獣軒「ガラモン」、SPIRALTOY「ゴジラ2016」、サルジルシ「地獄獣」
その最中に今度は怪獣軒というブランドからから依頼がありました。代表の方から、1960年代当時発売されていたフォノシートに描かれていた「ウルトラ怪獣」をソフビ化したいということでした。「それはおもしろい」と思って誕生したのがこの「ガラモン」です。これを描いたのマンガ家・桑田次郎さんの『8マン』のテレビアニメで作画や絵コンテ、『ウルトラマン』でもタイトルロゴとか担当された河島治之さんなんです。だから絵は完全に桑田調なんですよ。それのソフビが欲しいということでね。ちょっと冒険的だったけど、インディーズメーカーが作るからいいかなと思いました。
近年は、アメリカのSPIRALTOYっていう、ここ3年ぐらいに活動し始めたガレージキットメーカーで「ゴジラ2016」をやってますね。
サルジルシ(ショップ・山吉屋のディーラーブランド名)さんとは、何年ぐらいですかね。山吉屋さんでアーケードゲームのキャラクターを作ってからだから、もう10年ぐらい? 実はサルジルシさん、私の住んでいるアパートの隣に住んでた方のお友達だったんですよ。そのお友達が「なんか外で怪獣のサフを吹いているおじさんがいる」と聞いたサルジルシさんが「紹介してほしい」と言ってくれて、お友達が繋いでくれたんです。彼はミュージシャンで『ウルトラマン』第32話「果てしなき逆襲」に出演された「パティ隊員」役の女優・真理アンヌさんの旦那さんの親戚だったんですよね。彼はフィギュアとか好きで、うちのガラス窓に並べてあモノがシルエットで見えるので、気にしてたらしいんです(笑)。また私の上の階の住人など、みんなネコ好きなんですが、そのネコたちがみんなうちの前でケンカするので、私が止めに入ったりして住人同士、顔見知りだったんです。それでサルジルシさんと出会って「ソフビやってみましょう」ということになり、最初SEGAのアーケードゲームのキャラクターで始まって、楳図かずお原作モノになるんですよね。『14歳』の「チキン・ジョージ」から『猫目小僧』も作りましたね。
1番はサルジルシをフューチャーしてもらえればありがたいですね。やはり私とかM1号の西村さんもそうだけど、最初の怪獣ソフビの呪縛があるので、目の付け所が古い。それを違う世代から見ると、こういう発想がないのでおもしろいということになる。そうやってみんなが頑張れば、底上げになりますよね。また私たちがこうやって発売して、曲がりなりにも完売になるのは、やっぱり新しい試みもやっているからだ思うんです。たぶん私たち、もう年齢的に、あとどれぐらい出来るんだろうって思います。あと10年ぐらいかもしれない。だから売れて欲しいですよね。