注目のレポート2回目は、まず「DesignerCon」自体のブースから! 「D-CON」マスコットキャラクター「Vincent(ヴィンセント)」のソフビやグッズが並んでました! また「DesignerCon」主催・Ben Goretsky(ベン・ゴレツキー)氏のショップ・3Dretroのブースは、さすが老舗のアートトイショップという佇まいでしたね! そして今回の会場ブース編メイン特集ですが、第1弾での紹介どおり会場は東京ビッグサイト1ホールぐらいで、そこまで広大ではないのですが、ブース数が数多いことは変わりがない! そこで、アジア担当・Don Kratzer(ドン・クラッツァ)氏や、英語堪能で海外アーティストとも親交が深いsofvi.tokyoでもお馴染みなアーティスト・照紗氏にお願いし、それぞれのおすすめのアーティストたちをご紹介いただきました。すると、おそらくその国ではふたりしかいないというチリのソフビ制作アーティスのひとりや、イタリアでは多分自分ひとりというソフビ作家など、世界各国に確実に広がりをみせる、ソフビ作家事情が垣間見える取材となりました。
「DesignerCon2025」参加お問い合わせ■Don Kratzer(ドン・クラッツァ)don@designercon.com
「D-CON」ブースには、香港生まれでオランダ在住の超人気デザイナー・Kasing Lung氏の「LUBUBU」やHEADLOCK STUDIOの「MONSTER WORLD MINI FIGURE」が並ぶ!
「D-CON」マスコットキャラクター「Vincent(ヴィンセント)」のリュック(上)! 「D-CON」ブース限定のパンクドランカーズ製「AITSU Golden Suit」(写真2番目)! そして未彩色成型ソフビたちは、いずれも「Vincent(ヴィンセント)」で、ジャパニメ風アレンジ版(写真3番目)とアーティスト・TOUMA氏がデザインした作品(写真4番目)
ブースでは「Vincent(ヴィンセント)」のペーパークラフトカードもありました!
パンクドランカーズのポスターも!!
「DesignerCon」主催のBen Goretsky氏(ベン・ゴレツキー)のショップ・3Dretro。まさにアートトイという存在感に溢れた作品が並ぶ!
UAMOU氏の「ビッグウアモウ」がありました!!
Ben Goretsky(ベン・ゴレツキー)氏からのコメント(「DesignerCon」パンフレットから抜粋)
「ラスベガスでの最初の年に加してくれてありがとう。眠らない街でのパーティーにみんなが戻ってくることにとても興奮しています。私たちはラスベガスにいるだけでなく、街の芸術地区の真ん中にいます。2024年は「DesignerCon」19年目であり、この動きは私たちにとって、大きな移行年になりました。それでも世界中から多くのアーティスト、メーカー、ベンダーが私たちの新しい家に加わったことに驚き、うれしく思います」
来年は「DesignerCon」20周年というので、ますます注目なのだ!
sofvi.tokyoではお馴染みのひなたかほり氏(写真左)、せりのりか氏(写真中左)、照紗氏(写真右)たちは、ドン氏が主催するGlobal Figure Showcaseとして出店。写真右から3人目はタイのアーティスト・Zintears氏!
照紗氏の[郷土玩具怪獣]たちがラスベガス会場を席巻! 「イヌハリゴン」&「イヌハリゴン寿サイズ」それぞれの「桔梗月夜ver.」をメインに「鯛えびす」や「イヌハリゴン Retro Toy Shop 6th edition」など発売。「アカベゴン」や「キブナドン」は[VAG]もあり。ほかにも「深きものども きんぎょこ」もありました!
クリエイターユニット・ザリガニワークス界隈に出没する謎のヒーロー「たねマン」も「DesignerCon 2024」に参戦! 会場内を徘徊!!
いまや世界中で人気な「MORRIS」でお馴染みひなたかほり氏! クリアソフビならではの「MORRIS × SHIORI」カスタムをメインに販売!
せりのりか氏は「カワイガレニンゲンドモ」の「ラベンダー」をメインに、代表作の「怪獣アイシー」「海獣サンディ」「A.GIRL」なども販売
今回、照桫氏にご紹介いただいたZintears氏は、悪魔モチーフで、とてもかわいいキャラクターを創造するアーティスト! 基本的にレジン製フィギュアがメインだが、ソフビも手がけているので今後、注目したい!
上の写真の真ん中にいるピンクの綿飴のようなキャラクターが「Cotton Candy Bobbi」で両脇の小さなお面を被っているのが「Poison apple Yorick」! 「Cotton Candy Bobbi」は「エクストラ・フワフワ・ボビー」とも呼ばれている。その下にいる従者(?)みたいなフクロウのようなキャラクターは「Moomoon the Moon」。そして写真下には、Zintears氏が想像したメインキャラクター「Bobbi the Baphomet」なのだ! 真ん中の丸いのがオリジナルで両脇の細長い「Bobbi」は3Dデータを縦長に伸ばして出力したモノ。おもしろい!!
Global Figure Showcaseブースには、アーティスト、ストーリーテラー、おもちゃデザイナーのMUMBOT氏も参加。上の写真、左中にいる妖精のようなキャラクターは「モス 苔の精霊」で、キノコのようなキャラクターは「Shumi Mushrumi」。女の子のキャラクターはCLUTTER STUDIOSと製作した「Girl From The Forest Floor(森の底から来た少女)」。下の写真にはMUMBOT氏によるキャラクターのプラッシュもずらり!
なんと照紗氏&ひなたかほり氏のブランド・Retro Toy Shopは「DesignerCon2024」のオフィシャルポスターもデザインしていたのだ!
会場を徘徊するたねマンに照紗氏にも加わっていただきエビキヨ先生との3ショット!!
会場では照紗氏&ひなたかほり氏の代表作「イヌハリゴン」と「MORRIS」を世界の女性アーティストたちがカスタムした「RETRO TOY SHOP INTERNATIONAL CUSTOM SHOW at DCON 2024!!」も展示されていた。その作品たちもご紹介!
Rato(Korea)氏の作品
Miloza Ma氏(Hong Kong)の作品(左)。Horrible Adorables氏(USA)の作品
Jessica Emmett氏(Singapore)の作品(左)。Don’t Cry in the Morning氏(Hong Kong)の作品(右)
Poriin氏(Thailand)の作品(左)。Candie Bolton氏(USA)の作品
Jenny Cherry氏(Mexico)の作品(左)。Minji氏(Korea)の作品(中)。MueanfuN氏(Thailand)の作品
Hootatoe氏(Thailand)の作品(左)。Pucky氏(Hong Kong)の作品(中)。Sorbet Jungle氏(USA)の作品
Ngaew Ngaew氏(Thailand)の作品(左)。Winnie Yippie氏(Singapore)の作品
Zintears氏(Thailand)氏の作品
照紗氏やドン氏と親交があり、日本のイベントにも何度も来ている海外ソフビ作家・Candie Bolton氏は、Crisalysブースで出店。蓄光成型にメタリックスプレーで仕上げた「Purple Phantasm Bake-Kujira」を発売
この作品についてCandie Bolton氏は「怪獣をデザインしたくて……『ゴジラ』は『ゴリラ』と『クジラ』を合わせた怪獣ですよね。そこから自分独自の『クジラ型怪獣』を作りたいと考えたのですが、妖怪も大好きなので、日本の妖怪の『幽霊鯨』をベースに考えました。妖怪は、生き物に何をするのか? どんな力を持っているのか? 10代の頃から興味があって、ずっと研究しているんです。私が考えた『Bake-Kujira』の外見コンセプトですが、見た目を人間に似せたかったから顔は人間に近い頭蓋骨にしています。『幽霊鯨』は、人間が『クジラ』を殺すと生まれると本で読み『クジラ』の精霊が人間に復讐するので、顔は人間に似せたらおもしろいと思ったんですね」と解説
ほかにも好きな日本の妖怪について尋ねると「『キツネ』の言い伝えや物語がおもしろいです。彼らは人に変身したりしてトリックスターみたいだけど、必ずしも邪悪じゃなく、いいところもある。特に『稲荷狐』は本当にいい子で、畑の『ネズミ』を食べることで作物がよく育つため、畑では豊作の象徴なんです」と楽しそうに語る。そんな「キツネ」好きから発想したキャラクターが「キット&モモ」なのだ!
「『キット』は『キツネ』の略です、彼女には『モモ』という仲間がいます。これは『宝の球』である『宝珠』がモチーフなんです。『キット』は賞金稼ぎで、最初は『宝珠』を盗むんです。でも、それを手に入れたとき……彼女は『ひとりは寂しい』と呟くと、なんと『宝珠』が相棒になってくれたんです」、なんともハートフルなストーリーだ。ちなみにCandie Bolton氏の腕には、きれいな「宝珠」のタトゥーがあるほどお気に入りなのです!
「キット&モモ」には、ヘルメット、武器、デフォルトでGIDアームなどが付属。それは「キツネ」と言えば変身なので「ヘルメットや武器を使って、変身する感じが欲しかったからです」と解説。確かに変身する! また相棒の「宝珠」が「キット」のベルト、手のひら、耳に彫刻されているのも見逃せない!
そんなCandie Bolton氏ですが「DesignerCon」については「とてもエキサイティングで楽しんでいます。ほかの人が何に取り組んでいるか見ることができるし刺激を受けます」と興奮気味に語ってくれました!
今回、照紗氏に紹介していただいた作家さんのひとり。チリを拠点に活動するイラストレーター・Crisalysのふたり(右はCandie Bolton氏)。活動キャリは3年でソフビ製作は1年目という。「DesignerCon」参加は今回で3回目
「ラスベガスの『DesignerCon』は、色々な人がいる感じがします。アナハイムで開催されていた時より、大人のお客さんが多い印象ですね。ここで参加アーティストを観れるのは楽しいです」
イラストは、エレキギターを抱える女の子と彼女を取り囲むエフェクタが描かれている。「ボーイフレンドがギターを弾けて、たくさんのエフェクターを持ってるんです。私にはそれがまるでケーキのように見えますね」と説明。ギター繋がりから彼女のイラストが使用されたギターピックも販売していました
イラストをよくよく見ると、なんと「ガラダK7」の「ジャンボマシンダー」やM1号の「マタンゴ三輪車」も描かれている!? チリにもジャパンカルチャーは届いていました! 彼女たちは幼い頃『カードキャプターさくら』のアニメが大好きで、そこからジャパンカルチャーにハマったとと語ってくれた。またソフビ製作は、ネットサーフ中、照紗氏のサイトを発見して興味を持ったことがきっかけだったという
ソフビのキャラクター名は「名前は『CURI』です」。ただし「私の描くキャラクターには、ほとんど名前がありません。名前を付けるのは難しいからです」という名付けは苦手という心情を告白
ソフビの製作については「海外でソフビを製作しているSTICKUP MONSTERSのハビエル・ヒメネスさんというアーティストと仕事しました。彼はソフビについて2Dから3Dへのデザイン、金型製作の方法など、すべて教えてくれました」とのこと。STICKUP MONSTERSとはスペイン南部に拠点を置くおもちゃブランドで、クリエーター&キャラクターデザイナー・ハビエル・ヒメネス氏と原型師・クリスティーナ・ラヴェンナ氏によって運営されている。「CURI」の足裏には、STICKUP MONSTERSとはCrisalysの刻印!
彩色は全て自分たちで担当しており今、勉強中で「CURI」が初めて彩色した作品。ちなみにチリでは、ほかにももうひとりソフビ製作しているアーティストがいるという。
「チリで私たちは小さなソフビのワークショップをしたことがあります。チリにはソフビというおもちゃがないので、ソフビとは何か? ほかのおもちゃ……例えばプラスチック製のおもちゃと比べて、なぜ少し高価なのか? 人々に説明するのは難しかったですね」とチリでのソフビ普及の大変さと苦労も告白してくれた。ぜひ活動を続けてチリにソフビ文化を広げてほしいと願います!
そんな彼女たちにソフビについて、何が一番好きなのか聞いてみた。
「自分で作ることができることや、壊れないから掴んで遊ぶこともできるし、見て楽しむこともできるおもちゃなので好きなんです。例えば、私はスニーカーも好きですが、スニーカーを買って使わない人もいれば、使うのが好きな人もいます。私は自分のを使ったり遊んだりするのが好きですね」
遊んでも壊れないところが好き! というのは、まさにソフビならではの魅力です!
そしてもうひとり照紗氏に紹介してもらったのが、イタリア人アーティスト・Vega Relicsだ! イタリアで唯一ソフビ製作をしている作家なのだ!
「ソフビは、1年半前に始めました。好きなものだけを作ってて『あれを作りたい』『これも作りたい』とハイペースで製作し続けて1年で25体のソフビを作りました。『ダルマ』が好きなので、全ての作品に『ダルマ顔』を入れましたが、まだ適切なスタイルがないと個人的に感じているので、今はもう入れていません。これからは少しペースを落とす必要があると思います」と、矢継ぎ早に語るソフビ熱に、もの凄く圧倒されました
「ダルマ」モチーフで、始めは巨大サイズだったが、その後、輸送コストなどの問題で少しずつ小さいサイズに変更していった
Vega Relicsのソフビ制作の段取りについて聞いてみた。
「私はデザインをします。それから3DCGソフトウェアでラフな原型を作ります。映画のCGIで働いていた、とても良い友人がいるのですが、彼がすべてのディテールなどを手伝ってくれるんです」
ソフビは全て中国産だが、それには理由があった。イタリア人である彼の場合「日本でソフビを作りたい」と考えても工場や窓口になってくれる知り合いを見つけるのはとても困難だからだ
「それに加えて、私はたくさん作りたいと思っていますが日本だと、ひとつ作るのに非常に長い時間がかかります。だから私にとっての日本産は、特別な作品のためだけになるでしょう。今は日本とも繋がりが出来たので、特別なひとつは作ることができます、逆に急いで作りたいソフビは、これまで通り中国で作ります。中国の工場はとても速くて、45日あればひとつできてしまいますからね」
なんとも凄い馬力の驚く! そして語ってくれたのが将来的の希望だった!
「日本で工場を開きたいと思っています。ビザの問題で非常に難しいのですが検討しています」
なんともソフビへの飽くなき野望! おもしろいのでぜひ実現させてほしいぞ!
日本のマンガ『GTO』が好きというVega Relics。このソフビ「Cane」は『GTO』に出てくる教頭先生の顔に似せて製作した!
「ほかのアーティストとのコラボレーションも行っています。これはフランシスコというイタリア人タトゥーアーティストとの作品です。アイデアがとても気に入っているので、新たなコラボレーションについて連絡を取り合っています」
作品タイトルは「メカミルク」!
これは「DARUMAN」! 衣装は布製。刺繍も「ダルマ愛」が凄い! 彼は「ダルマ」のタトゥーを入れている。ただ海外でそれをオーダーした時、タトゥーアーティストの反応はどうだったのだろろう?
「タトゥーアーティストは、たくさんの日本文化……例えば日本の入れ墨やおもちゃなど至る所にあるのでそれを知っています。それは世界の国組と異なる文化なので私たちは皆、日本がとても好きなんです。日本にはアニメがあり、それは人々に日本の作品を理解させるための強力なモノです」
彼が語ってくれたジャパンカルチャー愛炸裂のコメントはsofvi.tokyoとしてはうれしい限りだ! Vega Relicsからお聞きした話で、改めて日本文化の底力というものを感じさせてもらいました
こちらは台湾で開催され、ドン氏や照紗氏も参加経験のあるビッグイベント「MUSHROOM FESTIVAL」を企画・運営するショップ・MUSHROOM TOYS! 最近、アジア圏でのソフビ熱がもの凄いが、ここではショップならではの視点で台湾、中国、香港など、それぞれの国と地域から発信されるソフビのスタイルについて聞いてみた
MUSHROOM TOYSさんによると「中国スタイル、台湾スタイル、香港スタイル、はっきり説明できませんがそれぞれ違いはあると思います。わかりやすいのは台湾で、ここはかわいいのスタイルですね。中国はクリーチャー系っていうかモンスタースタイルですね」と語ってくれた.アジア圏の各国のスタイルは、ぜひ掲載した写真から感じ取ってほしい!
MUSHROOM TOYSのおふたり。女性スタッフは日本語OKで、男性スタッフは「日本語が好きなので勉強しています(笑)」と言いながらほぼOK! 英語がダメなsofvi.tokyo編種部(エビキヨ先生は多少ブロークンだがOKなので現地での会話は全てお願いしました)なだけに、日本語が話せるMUSHROOM TOYSのおふたりには尊敬しかないです!
そんなMUSHROOM TOYSさんによるイベント「MUSHROOM FESTIVAL 3」が2025年3月8日〜2025年3月9日に開催予定というので要チェック!