- 2025-1-25
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地獄へようこそ的イメージのMONDOブース。それは果てしないソフビ道への誘いだ!
前回のメイド in アメリカ・ソフビクリエイターたちのインタビューに続いて最終回・第5弾は「DesignerCon2024」へ行く前から絶対に取材したかったメーカー・MONDOを紹介。きっかけはマルサン代表・神永英司氏との雑談で「海外にもクラシックな日本スタイルの造形でソフビを製作しているメーカー出てきた。アメリカのソフビ事情も変化してきたね。確かMONDOっていうメーカーだよ」という一言だった。それ以後、ずっとチェックしていたため、今回は本当に待望だったのです! そこでMONDOのシニアクリエイティブディレクターであるアーティスト・ATTACK PETER氏とシニアディレクター&クリエイティブ&製品開発&原型師でもあるHector Arce氏にお話うかがいました。イベント中、PETER氏はなんと怪獣ソフビ界の老舗・マルサンの神永英司代表と名刺交換していました! そこで英語堪能でもある神永氏に間に入っていただき、MONDOの両氏にインタビュー。それにしても、さすがマルサンはソフビの老舗です。神永氏に感謝!!
インタビュアー/Sofvi.tokyo編集部、エビ沢キヨミ
「DesignerCon」参加お問い合わせ■Don Kratzer(ドン・クラッツァ)don@designercon.com
左からATTACK PETER氏とHector Arce氏
ーー日本スタイルの怪獣ソフビ、東宝怪獣など作られてます。なぜ作り始めたんでしょうか?
PETER 私たちはふたりともマルサン、ブルマァクなど、すべての歴史的メーカーの大ファンなんです。デザインのシンプルさ、色の範囲など怪獣ソフビは、ひとつの造形を、色やその他のスタイライゼーションによって、様々な方法で見ることができるという点に、とても特別な魅力を感じているんです。それでアメリカで怪獣ソフビを作る機会を東宝から与えてもらえたのは幸運でした。それでHectorがプロジェクトを率いて作品をいくつか発売したんです。最初は「ゴジラ84」でしたよね?
Hector 私たちは4年前に「ゴジラ84」と「ヘドラ」から始め、発売したらすぐ完売したので自信を持って続けることができたんです。私は「スペースゴジラ」「ビオランテ」「ラドン」などのキャラクターを造形しました。そしてPETERを迎え入れ、彼独自のスタイルを取り入れたんです。
PETER 東宝が全く異なるスタイルの「ゴジラ」を作る許可を与えてくれたのは初めてのことです。私のスタイルというのは、リノリウム版画を彫ることなんです。それをHectorは、3Dに変換して、とても成功しました。だから私たちは2つのソフビラインを持っています。ひとつは、より伝統的なモノ。もうひとつはアーティストやデザイナーに焦点を当てたモノです。だからJesse Hernandez(ジェシー・ヘルナンデス/タトゥーアーティスト)やJAMES GROMAN(ジェームズ・グロマン)といったアーティストの作品があるんです。
Hector 私たちはただの大ファンで、私たちはそれが大好きなんです。自分たちが欲しいから作るんです。
PETER 私たちは、多くのお客様が最初に私たちのソフビを購入し、それからほかのすべてについて学ぶことに気づきました。それはソフビへの入り口ですね。そこから彼らはマルサンやブルマァクについて知り、すべてを集め始めるのです。アメリカの収集家がソフビの価値を理解するのは珍しいことです。なぜなら、彼らは可動性や非常に多くのリアルなディテールを重視するからです。だから私たちといれば、私たちはソフビを作って説明することができるし、彼らは理解し、もっと探すようになるはずですから。
神永 分かります。20年以上前に私は「サンディエゴコミコン」「チラーシアター」、そして「シカゴアンティークトイショー」などのイベントに出展し、当時は東宝のアメリカライセンスで「ゴジラ」「ガメラ」の両方の許可を取ることができたので日本から「ゴジラ」や「ガメラ」のソフビを持っていったのですが全く売れなかったんです。
PETER そうですか。今は売れ始めています。そう考えるとファンも変化したと思います。
ーー昔のクラシックな怪獣ソフビを製作する時に気をつけてる点は何かありますか?
PETER おもしろいことに、Hectorは「平成ゴジラ」のような顔が好きなんです。つまり意地悪で怒っている「ゴジラ」ですね。そして私は昭和の「ゴジラ」のような間が抜けたかわいい顔が好きなんです。ただ私たちはふたりは、結局両方とも好きなんですけどね(笑)。通常は、Hectorがすべての伝統的な造形のソフビを監修しています。この「ゴジラ」「ガバラ」「ミニラ」セットはバランスが取れていると思います。例えば、この「ゴジラ」。私たちはふたりで製作に取り組んだんですが、私がアイデアを描き、Hectorが造形しました。かわいらしさを残しつつ、伝統的な雰囲気も感じさせ、さらに少しタフさも感じさせるというバランスを見つけることから始めました。それはまさに融合です。私たちはオマージュを捧げようとしています。盗作ではありません。ソフビの歴史の中で好きな部分を少しずつ取り入れて作っているんです。本当にただのオマージュなんですね。「ミニラ」のように、もう少しかわいらしいものもあります。これもHectorが作りました。例えばリアルなモノの方が好きだったりするファンも「いいね」と言って購入してくれます。それが彼らの最初のソフビになることを私たちは知っています。そしてファンは、徐々に伝統的な美学を理解し始めるのです。マルサンやブルマァクのようなレトロスタイルへのオマージュとして、このようなデザインになっています。時々少しリアルな方向に行ったり、さらにキュートな方向に行ったりもしますが、根底にあるのはオマージュです。でも、私たちは本当に欲しいから作っているんです。たんに私たちのコレクションに加えたいからなんです。
PETER この「ゴジラUFO」は、M1号の「三輪車シリーズ」へのオマージュとして始まりました。私たちはすべてのキャラクターが乗り物に乗っているというアイデアが好きですが、同じことはしたくありませんでした。三輪車はM1号のアイデアであり、私たちはそれを尊重しています。そこで、UFOというアイデアを思いつきました。ただデザインを見て「ああ……」と思いました。なぜなら最初それを小さく作るつもりだったからです。でも「これはとても良いので大きくしよう」と思い直しました。それが「ゴジラUFO」の始まりです。そして、願わくば次は「キングギドラ」と「ラドン」もこれでやりたいと思っています。
PETER あとこれは私たちがやっている『狼男アメリカン』です。1980年代の映画で、そこに出てくる「悪夢の悪魔」ですね。私たちは、伝統的な造形でクラシックに製作することができます。これは当時、製作されてないキャラクターなので、ソフビの伝統的なスタイルでホラー作品のキャラクターを再訪しているんです。それは私たちが自分たちのコレクションに加えたいと思っているからです。そして今、ホラーコレクターにソフビを紹介しています。彼らはもともとソフビにあまり興味はありません。
Hector ソフビに興味を持つホラーファンは珍しいですね。
PETER 非常にまれです。だから、これは私たちがそういったコレクターにソフビを紹介する方法でもあります。首から下は色使いといい、形といいマルサン・ブルマァク風スタイルだけど、顔は決してマルサン・ブルマァク風じゃないリアルなホラーテイスト。そうすることでホラーファンにもソフビを広げたいのです。
ーーなるほど。そういう狙いの新作ラインもあるんですね!
PETER これは「Masters of The Universe He-Man」の対戦相手「Scareglow」です。Hectorが「Scareglow」の中に骸骨を入れたらどうだろう? というアイデアを思いついたんです。それは今まで誰もやったことがありませんから。
Hector それでソフビで製作したんです。
PETER これは「Masters of The Universe He-Man」のファンに、スラッシュ成型によるソフビを紹介する方法になるでしょう。私たちがしようとしているのは、すべてのファンにソフビを紹介することなんです。なぜなら、私たちはソフビを作るのが大好きだからです。コレクターにその価値を理解してもらうことがビジネスにとって重要なのです。私たちは「Scareglow」を4つの異なるカラーで発売し、すでに完売したので多くのコレクターにとって初めてのソフビになったと思います。ファンは4つすべてを購入することで、ひとつの造形で複数のペイントバージョンという喜びを理解したんです。
神永 「He-Man」はアメリカの昔のキャラクターで、凄い人気があったシリーズなんですよね。アメリカで当時、ブリスターフィギュアが沢山発売されましたよね。このソフビは、敵なんですね。当時のフィギュアは小さいけど、それをビッグサイズでソフビ化して、蓄光やクリアでバリエーションを製作する。これで「He-Man」をファンをソフビに取り込みたいってことですね。
エビキヨ フィギュアとはまた違って、すごくソフビっぽく仕上がってとてもいいと思います!
MONDOブースには「ゴジラ」ビジュアルのイカしたデイパックと超カッコいいTシャツもありました! デイパックはなんと「ゴジラ」の音声ギミック付きなのだ!
MONDOは『ゴジラ』など映画サウンドトラックのレコードも発売! ジャケットデザインはPETER氏が担当したリノリウム版画。実にカッコいい!!
エビキヨ先生とATTACK PETER氏
ひとつの質問に10以上の熱量と勢いでソフビ愛を語ってくれたATTACK PETER氏とHector Arce氏。とにかくマルサン・ブルマァクテイストのソフビをより多くの人に届けたいという想いと、飽くなき自分達の大好きなソフビコレクションを充実させたいという底知れない欲望……。このふたつが心地よくミックスしているMONDOのソフビは見ててとても興味深かった! お話を聞くことができて本当に楽しかったし、聞いてよかったと思えるインタビューとなりました。ぜひまたどこかでお会いしたい! 今後のMONDOはソフビ好きなら見逃せない存在です!!
というわけで第1弾より第5弾まで、それぞれのテーマで「DesignerCon2024」を写真でレポートしてきました! 会場ではほかにも、もっとたくさんのブースがあり、3日間のイベントでもソフビは全て追いかけきれないほど充実していました。sofvi.tokyo編集部としては、超充実した取材となり本当に来てよかったと思っています!! 最後に第1弾でも書きましたが、なんと来年の「デDesignerCon2025」は20周年記念ということなので、さらに見逃せなくなることは間違いなし! まだまだなにかありそうなので、ぜひまた取材したいと思います!
最後に取材でお世話になった「DesignerCon」アジア圏担当Don Kratzer(ドン・クラッツァ)氏と「DesignerCon」主催者Ben Goretsky氏(ベン・ゴレツキー)氏とエビキヨ先生とで記念撮影! Ben氏、ぜひ来年開催の「DesignerCon2025」もよろしくお願いします!
そして写真レポートは第5弾で終了ですが、ついに待望のエビキヨ先生のルポマンガもスタートしています!
エビ沢キヨミのそふび道(File:91 ~番外編~「ビバ!ラスベガス!D-CONへ!」の巻)その①
当初全5回予定でしたが、あまりのボリュームに全6回にして毎週末アップでお届けします。同時に英語版も!!
Ebisawa Kiyomi’s Sofubi Road(File:91 ~Extra Edition~ “Viva! Las Vegas! To D-CON!” Part 1)
会場の雰囲気などより感じられると思うので、引き続き「DesignerCon2024」ルポマンガをお楽しみ下さい!!