- 2025-3-18
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- Gyaromi, WF, まつむらあさみ, エビ沢キヨミ, サンガッツ本舗, ワンダーフェスティバル, 鈴木製作所
ここでは昨年末開催の「D-CON」取材でお世話になったGYAROMI、サンガッツ本舗にアフター「D-CON」として改めて感想など。そしてやはり取材でいつもお世話になっているイラストレーター・まつむらあさみ氏が、今回自作ソフビで初イベントデビューというのでその感想や改めてソフビの魅力を語っていただいた。それぞれエビ沢キヨミ先生のイラスト付きで紹介します!
■GYAROMI
「ワンダーフェスティバル2025冬」は新作怪獣「ヴォイドン」デビューとなったGYAROMI! 昨年末開催の「D-CON」は、メディコム・トイのサイン会参加のみで、あとはファンに混じって買い物など堪能! その辺の模様はエビキヨ先生のレポートマンガで確認してね。そんなGYAROMIに改めて「D-CON」での感想や、それは今後の活動でどう活かされようとしているのか? お話をお聞きした!
ーー改めて昨年末のD-CONについて聞かせてください
サイン会での参加でしたが、これで足掛かりも出来ました。環境的にもホテルや会場も近いし、とても過ごしやすくて楽しかったので「また行きたいね」って話をしています。もともと怪獣が好きで、アメリカで販売するなら「怪獣が欲しいよね。でっかいソフビが必要!」という話をしていたんです。D-CONで改めて刺激を受けて「やっぱり怪獣じゃん!」と確信しましたね。
ーーそれがこれなんですね!
「ヴォイドン」です。もう1年ぐらい前から時間をかけて製作しました。今回は、金型をお願いしたのが昨年末で、工場も立て込むから今回の「ワンダーフェスティバル」には、たぶん間に合わないって言われていたんです。でも間に合いました!
エビキヨ これもダウン着てるんですね、やはりGYAROMIさんの作品はダウンが必須ですね! かわいい!!
ーー今日はサンプル展示という感じなんすか?
最初は販売できるかどうかわからなかったんですが、結局間に合ったので抽選販売しました。当たったお客さんには、お値段がかかりますが、アップグレードで彩色版にも出来ますよという感じで選択していただいてます。この「ヴォイドン」がアメリカのソフビファンにどう見られるか? これから楽しみです。
ーー楽しみですね! 「ヴォイドン」のアメリカ上陸に期待しています!
「ヴォイドン」の肌色版!
これは「ギークオイド」でデザインはKAGEMARU DESIGNS、造形がGYAROMIというコラボレーション作。すでに海外イベントでは先行販売されており、日本では今回が初売りだったという
■サンガッツ本舗
次の紹介は、おそらく国内外のイベントに最も数多く出店しているサンガッツ本舗。キャリアを重ね、オリジナルソフビ製作という点では、現在のソフビ界で相当老舗的存在だ。もちろん昨年末開催の「D-CON」にも出店。その模様は写真レポート&エビキヨ先生のレポートマンガで確認してね。そんなサンガッツ本舗の代表・いちみや忠義氏に、改めて「D-CON」の印象や海外ソフビ事情、そして日本の現状など気になる点を聞いてみた!
ーーD-CONから帰国しての感想から聞かせてください
エビキヨ 今回、鈴木製作所さんの「ブッチ」が行ってましたよね!
そういえば、D-CONで購入したファンから「ついに『ブッチ』をゲットできた。ありがとう!」ってお礼のコメントが来てました。国内イベントは鈴木製作所さんと一緒に出てますが、海外イベントは私ひとりなので、今回少し持って行かせてとお願いしたんです。というのも海外イベントに出ると鈴木製作所さんの「『ブッチ』はないのか? 『ボック』はないのか?」って聞かれることが多くて……何年もそれが続いてて、海外のファンから「いい加減に持って来い!」みたいなプレッシャーを受けてましたから(笑)
ーー大人気じゃないですか!
もう持って行かないとしょうがない。今後もアメリカやロンドンのイベントに「ブッチ」と「ボック」を持って行こうと思っています
ーーD-CONですが、今のアメリカでのソフビ状況をどう感じてますか? これまでのアメリカなど海外クリエイター勢には。怪獣よりモンスター的クリーチャーのイメージが強かったんです。ただ今回のD-C0N取材では、意外とクラシックなスタイルの怪獣ソフビを製作するクリエイターも多いと感じました。これはそういう流れになっているんですか?
もちろん海外のクリエイターさんたちも皆さん、日本の怪獣ソフビが好きだから、それに憧れて怪獣を作る人はいると思います。ただ、それはあくまで1ジャンルだと感じますね。その流れが今後、広がってメインになるかというかそれはないかな……モンスター的クリーチャーソフビを作っているクリエイターも、そもそも怪獣ソフビが好きで、そこへにそういう味付けをしている……お国柄というかね。やはりアメリカなどでは、今まで通りモンスター的クリーチャーのソフビがメインな感じがします。
ーーなるほど。海外ということでアジア圏に関しても、お聞きしたいんです
アジアはアジアで独特なクセというか……うまく言えませんがありますよね?
そういうのは確かにあります。アジア圏ではショップ・POP MARTが展開する「LABUBU」というキャラクター人気がすごくて、中国はもちろん、香港、タイ、シンガポール、今はマレーシアにも進出してるんです。でも日本でもPOP MARTのショップはあるけど、大行列ができることはないですよね……。その辺の感性の違いはあるし、おもしろいですよね。日本ってかわいいキャラクター……例えば「ちいかわ」とか、あふれてるじゃないですか。だから日本人が「ちいかわ」と「LABUBU」どちらを買うか? っていうと皆さん「ちいかわ」なんですよね。アジアの人たちも日本の“かわいい”を全て知ってるわけでありませんから。ただアジア圏でなぜ「LABUBU」が流行ったかというと、それはPOP MARTがきちんと戦略を立ててて、各国の有名人に「LABUBU」を紹介してもらったりしてるらしいです。そういうことは日本のキャラビジネスでは、やってないですからね。
ーー確かにそうですね。これもお国柄ですね。では日本のソフビ界に今、どう感じますか?
最近は本当に作り手が増えてますよね……。実感としては工場問題ですね。作り手として深刻な問題だと思います。まず金型屋さんが少ないので金型完成までこれまで以上に時間がかかる。先日、工場の人と話したんですが、新しく始める方はデザインだけしてソフビの特性をよく知らないまま作るので、金型から成形品を抜きにくいことがあって困ると言う話を聞きました。
ーー抜き口の大きさということですね。それはソフビ制作では重要な問題ですよね
そこを理解してない方が増えてるみたいです。それは工場には負担になると思いますね。
ーーもともと怪獣ソフビでスタンダードなスラッシュ成型という製作方法は、成形品を抜き安くするためにデフォルメして造形しますが、そのデフォルメ具合がソフビの魅力にもなってますよね
そうなんです。それを分かってなくて無理にデザイン通りの形状で品質の良い成型を求めるのは、単に工場の負担を増やすだけになる。「そういうの大変ですよね」って言ったら「分かってる人が彼らに伝えてください」とお願いされて……(笑)。ソフビを作りたい人が増えるのはいいけど、そこは理解して作らないと……と感じています。工場の手間を増やすことは、結果的に成型代の高騰にも繋がりますからね。
ーーただでさえソフビは高くなっているのに困りますね。そうした意見はなかなか聞けないので勉強になりますね
いや、こういうことを言い過ぎると、ソフト老害って言われかねないですからね、ほどほどに(苦笑)
ーーいやいやそこは大事な部分だと思います。ぜひまた色々聞かせてください
当日ライセンスで製作した「ゴジラ」シリーズ。『怪獣総進撃』怪獣勢揃い!
■まつむらあさみ
これまでメディコム・トイとのコラボレーションで「MARIA DOLL」や「VAG MARIA」などでソフビと関わってきたイラストレーター・まつむらあさみ氏が、今回自身で製作した初ソフビ「VECTOR」で「ワンダーフェスティバル2025冬」に参加! これまでのsofvi.tokyoでも紹介した通りまつむら氏は、溢れんばかりのソフビ愛を持ち、作風はイラストレーションでも明らかなアメリカンヴィンテージ! そんな日本のソフビ愛とアメリカンヴィンテージの融合となった「VECTOR」の「ワンダーフェスティバル」デビューは、ぜひチェックしておきたい! というわけで「ワンダーフェスティバル」自作ソフビデビューやソフビの魅力などお話をうかがってきました!
ーーご自身で製作したソフビでデビューされましたがいかがですか?
造形イベントがほぼ初なんです! 「ワンダーフェスティバル」は以前知人のブースを間借りして参加してますが、自分で作ったソフビでは今回が初になります。
ーー「JIM & JILL」はレジンキットですよね? 展示サンプルはまつむらさんの作ですか? レジンキット製作の腕前が凄い!
原型は藤本圭紀さん(メディコム・トイより発売されたスタチュー版『マリア』の原型師さんでもあります)制作で塗装は私です。久しぶりにレジンキットの塗装するに辺り、洗浄したりパーティングラインを研磨したりパーツの溝を埋めたり工程数がソフビと全然違うので大変でした。ソフビで溝を埋めないといけない場合は、それはもうB品、酷い場合はエラー品になってしまいますからね。そんな違いを感じて、同じ造形アイテムですが、マテリアルの違いを改めて確認することができましたね。
ーーそうした経験は今後のソフビ製作に活かされたりしますか?
塗装に関してはほぼ一緒だと思うので、いかにそれをソフビで活かせるかいうことになります。私がソフビで大事にしているのは、おもちゃらしさを出したいってことなんです。甥にベクターを一つプレゼントしてみたら遊んでくれたのですが、それ見て「ソフビは子供が遊んでくれる様子が嬉しい」と思いました。なので私のソフビ制作はワンオフ制作よりも、おもちゃらしさを大事に製作していきたいと思いました。
ーーそれはとても正しいソフビのあり方だと思います
エビキヨ まつむらさんのソフビはかわいいし、見た目もめちゃくちゃいいですよね!
ーー造形テーマとしては、アメリカンヴィンテージってことなんですよね?
そうです。顔の造形で例えるとラバーフェイスのぬいぐるみの造形、塗装やかわいいと思うポイントを色々集めてみて、好きな部分を取り入れてます。ヴィンテージらしさでいうとまつ毛で、60年代のビンテージトイは彩色マスクの装着緩めなのかボヤけたような塗装の物がかなり存在しているので私もそれに習って綺麗にできたらラッキーぐらいの感覚で彩色に挑んだ方がいいと思ってやっています。これによってソフビならではの「個体差」も産まれるので良くも悪くも私らしい個人の人が作るソフビが誕生するのかもしれません。実際、作業する中で少しづつ技術と知識のスキルアップしてる気ががします。
ーーいろいろ試しながらということですね
トライ&エラーとプラモやレジンキットの制作経験や今まで製作されてきた方々の経験談も聞きながら勉強させて頂いています。
ーーソフビデビューの「ワンダーフェスティバル」となったわけですが、今後もこのイベントに出店されますか?
そうですね。夏は酷く暑そうなので冬だったらまた出たい感じです。
エビキヨ 本当にまつむらさんのソフビは、お話しされた通り、おもちゃらしさとかわいらしいフォルムが全部ありますね!
ありがとうございます。
エビキヨ 実物に見ると、とてもまつむらさんらしいデザインだしソフビ的でもあって本当に凄いです。
ソフビは量産があってこそですよね。だから自分自身、飽きないデザインにするのが大変だなっていうのを改めて感じました
ーー本当素晴らしいですよ!
自作のソフビデビューイベントで「VECTOR」を4バリエーション発売。どれもカラフルでかわいいのだ
レジンキットの「JIM & JILL」! アメリカンポップな仕上がりです!
ほかにもブースには、まつむら氏のイラストを使用したアメリカンビンテージテイストのかわいいアイテムが並ぶ!