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恒例のメディコム・トイ2015年の下半期を振り返る 赤司竜彦 Interview

恒例のメディコム・トイ2015年の下半期を振り返る 赤司竜彦 Interview
↑赤司氏のお話に2016年も期待せずにはいられない。手に持つのは、お気に入りというSIOの新作MAHARAJAだ

いつの時代にもソフビはあったが、sofvi.tokyoで紹介するタイプのソフビが当たり前のように毎月発売されている今の時代。これは間違いなく近年のメディコム・トイの功績だろう。既存シリーズの充実に加えて[VAG]も一般への広がりを見せ、世にも稀な造形作家・安楽安作氏の復活もあった2015年下半期。ここでは恒例になっているメディコム・トイのソフビについて、赤司竜彦氏(メディコム・トイ代表取締役社長)に2015年下半期を振り返ってもらった! COLUMN「メディコム・トイのソフビ百科2015下半期編」 とともにご覧下さい! ちなみに「2015年上半期編コレクション」とインタビューはこちら!

1.2015年下半期について

―メディコム・トイの2015年下半期についての印象を聞かせて下さい。
安楽安作さんの復活が凄く大きかったなという所ですね(安楽氏インタビュー)。あとは[VAG]が予想以上に大きくなってきた感じがします。トイザらスさんでお取り扱いが始まったというのもありますが、これで取り扱い店舗が約100になって、微妙にマス寄りなブームになりかけている印象があるんです。アーティストという線引きで、少しニュアンスは変わりますが、もっと解りやすいキャスティングも出来る環境になりつつある。それで数字が伸びれば、うれしい関係者が多い反面、あまりマスに寄ると少し違った……[VAG]の本質というか微妙なマイナー感が損なわれてしまう。それは残しておきたいので、今後ますますキャスティングの“妙”が問われる気がしています。

―昨年末に[VAG]は1周年を迎え、イベントも開催されました。
おかげさまで非常に沢山のお客様に来ていただけてよかったです。次のタスクは[VAG]のブランディングをどこへ持っていくのか? です。次回の第6弾は、安楽安作氏のたぬきのぽこぽん、妖怪芸術家スタジオマメズのハヌマーン、音楽ユニット・group_inouのキャラクター・イルカのイルカくん、マンガ家・丸尾末広原作『少女椿』(映画が5月に公開予定)と怪獣芸術家ピコピコさんがコラボしたワンダー正光なんです。ここで丸尾末広さんとピコピコさんのコラボレーションにひとつ答えというか、作家と作品を掛け合わせることが[VAG]のひとつの新境地にならないか?と感じています。後は常に新しい作家さんから「やりたい!」と思っていただけるポジションに置いておきたいということですね。「カッコいいモノ」であり続けるには「どうしたらいいか?」常に考えないといけないという気がしています。苦しみつつも楽しんでいますね。

2.2015年下半期のTOPICSについて

―[東映レトロソフビコレクション]のラインなど、もはや当たり前のように毎月新作が発売され、数年前から考えると不思議な印象です。
今はソフビが全盛だった1960年~1970年代40年前じゃないんだぞ! っていう。実は知名度や人気のあるキャラクターなどが、大きくブレることなく、その通りに売れている環境があるから続けられるという状況なんです。また買って下さるお客様も徐々に増えて本当にありがたいと思います。

―完全にメディコム・トイさんの功績ですね。そして昨年はsofvi.tokyoというソフビ専門メディアもスタートさせました。
まず月間で10万ビューを超えることが目標で、昨年末に達成出来ました。そこで次は海外のお客様向けにsofvi.tokyoの記事をリアルタイムで英文化し、配信が出来るようにすることがタスクだと思っています。

―あれ?sofvi.tokyoはすでに海外のファンにも見られていますよね?
もちろん見て下さっていますが8割は国内ファンなんです。だから国内のお客様を増やしつつ、海外のお客様にもどう読みやすく出来るのか?
もっとインターフェイスの敷居を低くしたいんですね。

―国内が8割でしたか!?となると今後の海外向けの展開も期待ですね。そして次ですが、2015年は原型師・あべ♨︎とおるさん(あべ氏インタビュー)の怒濤の躍進がありましたが下半期は、少し落ち着いた印象もありましたがいかがですか?
いえいえ実は、今も「毎月あべ♨︎とおる」は継続しています。彼は毎月この2年間、1体も欠かしてないんです! 相変わらず凄いスピードとガッツですよね。今年は原型製作会社を立ち上げられるようです。ソフビの原型師もきちんと会社を立ち上げて仕事することが出来る! あべさん自身がそれをみなさんに見せたいんだろうと思います。がんばっている方には、そういう結果がついてくるのだと感じました。

―それは原型師の皆さんに夢を持たせてくれますね。そしてもうひとり、怪獣芸術家ピコピコさん(ピコピコ氏インタビュー)の活躍もあります。
あべさんには、作ってほしいキャラクターをキャスティングすることですが、逆にピコピコさんには「こういうアーティストが日本にいる」と世界へ発信していける背景が作れたらと思うんです。今年3月の発表になりますが現在、世界的に有名なアーティストのグラフィックをピコピコさんが立体化するプロジェクトが動いています。ピコピコさん本人も「やりたいです!」、そのグラフィクを描いたアーティストもピコピコさんの過去の作品を見て「彼だったらぜひ!」という、とても幸せな出会いだったんです。ピコピコさんには、こういう機会を増やしていけたらと思いますね。

―そして同じく作家として2015年下半期に外せないのが、先ほども出てきた安楽安作さんの復活ですね。
本当に精力的に頑張って下さっています。もうお話してもいいと思うんですが今年は、安楽さん初のライセンスモノがお披露目出来ます。

―え、そうなんですか?何を選ばれたのか楽しみです。
安楽さんには色んなお話をいただいていました。まだ発表出来ませんが、第1弾はこれしか無いというモノです。私からご提案をしたら「私がやってもいいんですか?」って言われていましたね。ふたつあって同時に出したいと思っていますが、それが出来るかどうかは安楽さんの創作のスピード次第ですね。でも本当に頑張っていただいていますので楽しみにしてて下さい。

―楽しみに発表を待ちたいと思います。そして次ですが下半期は、サイバーニュウニュウの復活もありました。これはメディコム・トイさんの音楽事業です。でもメカ・エルビスさんはソフビ化されましたね( http://sofvi.tokyo/sofubimichi_7_scoop/ )。
頑張ってて、もうクラクラしています。メンバーから最初に「赤司さんが作っているおもちゃだと思ってほしい。好きに使ってくれてかまわない」」と言われた事が凄く印象的でした。そこで私は「サイバーニュウニュウという素材で何が出来るのか?」というタスクなんだと思いましたね。今後の話で、例えばですけど[VAG]でメンバーのレプリ・シンのデザインが入るとか、おもちゃと音楽のフィールドを上手くミクスチャーした、これまでのソフビと違う切り出しをサイバーニュウニュウで出来ないか色々トライしています。提案してみると意外と通ったり「それダメなの?」ということがあったり、つくづく音楽は生身だと思いました。色んな事がありますが、おもしろいですよ。

―そうした取り組みって確実に外の世界ヘの発信になりますよね。
ちょっと違う所へアウトプットを結べてみたり楽しんでいます!

―次にお聞きしたいのがDREAM ROCKETの代表であり原型師でもある矢嶋淳一さんがスタートさせた[DREAM ROCKET FACTORY]についてです。
矢嶋さんの頭の中で構想は、1年ぐらい前からあったと思います。多分、踏ん切りがつくまで時間がかかったという感じでした。ただ本人はプレッシャーもありつつ、今の環境を凄く楽しんでいます。プレッシャーを楽しめるようになれば、良いモノ作りに繋がる気がするので頑張ってほしいですね。2016年のスケジュール表を出したら少し青ざめてましたけど(笑)。以前、DREAM ROCKETから発売した[怪忍獣包囲陣シリーズ]も新作を交えての展開など色々とお考えみたいですよ。

―楽しみですね。矢嶋さんで思い出しましたが下半期は、『ジャイアントロボ』が原作、アニメ、TVと充実しましたね。
そうでしたね。特に明快な理由があるわけではなく、当初の編成では、もっと惑星直列のように重なっていたので「さすがに開けよう」と、これでも整理したんです。でも結果的にワッと出た印象になりましたね(笑)。シンクロしたかのように各部門から企画が上がってきたという感じだったんです。

―そういうことってあるんですね。次に「円谷プロダクションクリエイティブジャム」から始まったのかな? [怪獣同盟]について、実はよく解らないんですが?
確かに。例えば[安楽安作劇場]や[ダイナマイトコレクション]、[DREAM ROCKET FACTORY]などは、原型師さん発信で展開するブランドです。逆に[怪獣同盟]は「円谷プロさんのコンテンツで自由な立体表現を行う場所」という括りなんです。例えばヤモマークさんのガラモンをサイズアップしたり、MaxToyさんのギタギタンガを発売したり。実は以前発売したゴートさんのオコリンボールが第1弾で、ヘッダーも[怪獣同盟]なんです。もともとゴートさんをソフビデビューさせるために立ち上げたブランドだったんですが、恒久的にソフビを作っているわけではない。またウチにはすでに[怪獣天国]というラインがある。そこで、それとは別に円谷プロさんのコンテンツで何かやる場合、一緒に作ったり、コラボしたり出来る自由度の高いブランディングを作りたかったんです。だから「同盟」なんですね。

―なるほどそういうことでしたか。そして次なんですが、イレギュラーのソフビについてお聞きしたいんです。よしもと芸人さんたちとのコラボのその後や最近だと『ど根性ガエル』ですね。
よしもとさんとのソフビは、なんか色んな事がありました。ちょうどテレビ埼玉で野性爆弾の川島(邦裕/現・くっきー)さんとバッドボーイズの佐田(正樹)さんで『俺達バカ社長』という番組が放映されてて、そこで新しいソフビを作ろうという企画がありましたが、諸事情あって番組が突然、終了してしまい今、冷却している所ですね。TVはいろんなことがあると思いました(笑)。ほかの『ど根性ガエル』などは、素材がそろったり発売タイミングのマッチ次第ですね。これは書いていただいて大丈夫ですけど、昔に発売された『ジャングル大帝』のソフビがあって、可愛いいので復刻したいと思いましたが、今のメソッドではとても作りづらいという話になり「どう作ろう」と試行錯誤しながら半年ほど寝ている案件とかあります。だから本当にイレギュラーに関しては、突然やってくるパターンが多いですね。

―そういう中、『アストロミュー5』はようやく復刻されました。
これも随分時間がかかりました。私自身も今から発売されるのが楽しみなんです。これに関しては今後、中嶋製作所さんのボディを使って、ほかキャラクターモノも復刻するのかどうか?考え始めていますね。

―それは期待大ですね。楽しみにしています! 次に[DC COMICS RETRO SOFUBI COLLECTION]や[MARVEL RETRO SOFUBI COLLECTION]についても聞かせて下さい。下半期は凄く少ない発売でしたが?
それは、どちらのシリーズも当初、申請していたプログラムを終了して大団円を迎えたからです。シリーズは、もともとダイヤモンドコミックスさん(海外でメディコム・トイモノの流通を担当)からのオーダーでもあるので、今後に関してはまたダイヤモンドコミックスさん次第ですね。

―ほかに類を見ないシリーズだったので、今後にも期待しています!

3.下半期で気になったアーティストについて

―次に下半期で気になっている国内の作家&メーカーさん、原型師さんがいたら教えて下さい。
少し前から活動されていますが、バケタンブログさんがおもしろいなと感じています。どちらかというとファンシー寄りなので、我々が好きなソフビ寄りだと個人的にはもっとうれしいんですけど。あとはSIOさんの新作MAHARAJAは、凄くいいと思ったので今後が楽しみですね。あ、gumtaroさんもそうですね。彼とは昨年8月の「円谷プロダクションクリエイティブジャム50FINAL」で名刺交換していたんですが、昨年末に突然連絡が来てお会いする事になったんです。そこで色んなお話をさせていただいて、実はgumtaroさん来年、ご自身のブランドのほかにも動きがあって……そうそうGEEK!さんの新作も彼が原型を作られているようなんです。だから2016年は結構出てくると思いますね。あとこれは今後の話になりますが、2016年でひとりゴローさんというメーカーが出てきます。すでにデビュ―作の成型サンプルを見せてもらいましたが、おもしろそうなので期待しているんです。彼とは不思議な縁があって4年前のエレガブさんの個展があって、ギャラリーで所用があったので寄っていこうと思ったら、まだオープン前だったんです。その時、並んでいた方が私を知ってて話しかけてたんですね。それで仲良くなったのがゴローさんなんです。そんな彼が苦節4年で遂にメーカーデビューですからね。ほかにも今年は、アパレルブランドのMILKBOYさんも「ソフビが好きなのでやりたい!」ということで動き出されそうなんです。ソフビの業界は、相変わらず新規参入のハードルは低いと思いますので「おもしろい方が沢山、出てくるといいな」と感じています。

―ソフビ界って、なんだかんだいって新陳代謝してますね。あと昨年ダブルシンクで初コラボされたTKOMさんなど、今年はいかがですか?
TKOMさんは多分、今後おもしろそうな切り出しでご一緒する感じになると思いますので楽しみにしてて下さい!

―すでに次へ動いているんですね。それでは次に海外の作家さんなどで気になっている存在があったら聞かせてください。
海外勢で2015年の下半期は、相変わらずLASHさんのM.V.H.新作は「カッコいいな」と思うぐらいで、実はほかに気になる存在はいませんでした。言い方として申し訳ないんですけど、結構これまでの作品をディプリケートしたモノが多い感じがしました。2015年の上半期はあんなに語るべき事があったのに(2015年上半期インタビュー )……みなさんマスプロで手こずってらっしゃるのか、上手く可動してない印象がありますね。海外勢に関しては、今年にまた期待したい所です。

―解りました。それでは最後に今後予定している新作……すでにちらほらうかがっていますが改めて教えて下さい。
本当にあべさんや安楽さんは、元気でがんばって下さっています。後はナカザワショーコさんが昨年予想以上の広がりを見せてくれたので、その着地点として「何かご一緒しましょう」と相談させていただいてて、おもしろい切り出し方でやれそうという所ですね。あとはなんでしょう……いろいろありますから(笑)。

―でしたら時期が来たら、また衝撃を与えて下さい! やはり今年も赤司さんは相変わらずソフビを「がんばります!」という感じでしょうか?
そういう事でしょうね。あとはsofvi.tokyoの拡大もがんばりますので!
―本日はお忙しい所、お時間いただきありがとうございました。2016年も期待しています!
(12月15日/メディコム・トイ本社にて収録)

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