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なんと「かいじゅうハムラ」のヨシダケンジ(ハムラ堂)氏がデジタル原型師として活動スタート!

昨年「かいじゅうハムラ」でソフビ界デビューし、その後イベント、ショップ限定などで着実に活動を積み重ねてきたブランド・ヨシダケンジ(ハムラ堂)氏! もはやsofvi.tokyoでもお馴染みな氏の活動だが、もともとは音楽ナタリーの特集JUNGLE★LIFEの雑誌連載コラム、CulTVタイアップ曲などなど、孤高のシンガーソングライター『吉田健児』としての経歴を持つミュージシャン! 造形経験など全くない中、ソフビ好きが高じて、自らデザイン&造形のすべてを手掛けた「かいじゅうハムラ」を完成させ、個人作家ブランド・ハムラ堂をスタートしたことは2021年末の記事で紹介した。スタートから1年経たない中、なんと氏は、ほかクリエイターからの依頼を受けた造形を請負う原型師活動もスタートさせたという! すでにTwitterなどで公開された原型あり! 全く造形経験がない中「かいじゅうハムラ」を完成させ、まだ浅いはずの造形キャリアで、なぜそのように活動の幅を広げることができたのか? これは、これからソフビ製作をしてみたい、自分で原型を手がけてみたい! というソフビ者にとって、とても気になり参考になると感じたので氏に緊急インタビュー! 氏の造形に関するの秘密をうかがってきました!
問合せ先/ヨシダケンジ(ハムラ堂)TwitterInstagramハムラ堂 web site吉田健児 web site
©️ヨシダケンジ(ハムラ堂)

ーー今回、造形師としての活動も始めたきっかけを教えて下さい。

ソフビデビューして数ヶ月ではあるのですが、たまたま愛してもらえて色んな人と繋がるようになって。それでポツッポツッと「造形してもらえない?」って造形の相談が来始めたんですよね。単純に光栄だったので「やってみましょ!」って感じです。今は依頼受けて3つ造形中です。喜んでもらえて結構楽しいですね。

ーー具体的に造形はどのようにされてるのでしょうか?

ぼくはデジタル造形です。
おそらく多くの方が「デジタル」と聞いてイメージされるようなスマートな造り方ではなく、粘土こねて手で造るのとほぼ同じです。ソフトウェアによりますけども。
ぼくは『シン・ゴジラ』の「ゴジラ」のモデリングでも使われた「Zbrush」という有名なデジタル彫刻ソフトウェアですね。
魔法のツールでもなんでもなく、やってることはアナログと大差ありません。デジタルな粘土を伸ばしたり、彫ったり、撫でてならしたり。ほんとにアナログそのまんまです。そこが画期的なんですよね「Zbrush」は。
その代わり例えばロボットみたいな、きっちり精密なデジタルっぽい造形は苦手です。出来るんですがあんまり向いてない。
極めてアナログ造形に近いデジタル造形、という存在です。今やイラストやマンガ描く人もみんなデジタルで描きますよね? それと同じです。


ヨシダケンジ(ハムラ堂)の新作「ハムおとこ」。大きくなり過ぎて怪獣化してしまった「ハムスター」・「かいじゅうハムラ」の飼い主。飼い主も巨大化してしまった。
画面上でデジタル粘土を扱い、ディテールを彫り込んでいく。

ーー造形を始められたのは去年ですよね?最初からデジタル造形を選んだ理由はなんですか?

音楽しかしてなかったぼくが、突然造形を始めたわけですが、まあとにかく暇で……(笑)。コロナ禍でイベントも飛ぶわライブもしばらく出来ませんでしたしね。そんな時、全く経験ない事を始めようとしたわけで、どう造ればいいのかもわからない。でも時間はある、暇なので。
そこで唯一意識してたのは「時代に逆らわないように」ってところでした。
時代の流れとしては明らかにデジタル造形であると分かったので「よしじゃあデジタルでやろう」と。その判断は正しかったと確信はしてます。
業界としてはまだデジタルの人はまだあんまり多くなくて、ポツポツはおられるんだけど依頼受けて造形する方とかはあんまりいない印象ですけども。

ーーデジタル造形って難しくないんですか?

難しいとは思います。大手メーカーのベテラン造形師さんが「ずっとアナログで作ってきたけどもうデジタルに移行しなきゃいけない」と。そのためにめっちゃ苦労されてる様子とかが記事になってて、それも読んだりして震えてました。
「あーそうか難しいのか」……と思いながら学び始めたわけですが、とにかく手で粘土こねて造ってるのと同じように造れるから、造形が心底楽しくて。没頭しまくってたら、いつの間にか自由に造れるようになった感じです。
楽しくてギター弾いてたら、自然に弾けるようになってたみたいなものです。
デビュー作の「かいじゅうハムラ」は、ほとんどまだ扱えてない状態で勢いで作ったので、クオリティーは微妙ですけどね(笑)。まぁそれはそれの魅力があるということで。造形し直したリニューアル版がもうすぐ出ますが。

ーーデジタル造形の強みって何があるんでしょうか?

あらゆる面において強いと感じていますが、例えば造形依頼を受けた際でも途中修正がアナログと比較にならないほどラクに綺麗に出来ます。希望に添いやすいですね。造形師としてのぼくの役割は「依頼者がイメージしているものを立体造形してあげる事」なので、ぼくの感性丸出しでは無く依頼者の感性が優先です。
なので希望を聞きながら調整は必須である以上、修正が効くのは大きな強みですね。
大きさ変更も自由。データなので製品化後もいじれます。造形のスピードも比較すれば速いですね。もちろん時間はかかりますが。とにかく技術があれば自由です。

ーーいま依頼造形とは「依頼者がイメージしているものを立体造形してあげる事」で「ぼくの感性丸出しでは無く依頼者の感性が優先です」という発言がありました、これは自分の作品を造形するのとの何がどう違ってくるのか? もう少し具体的に教えてください。

実際に三面図のイラストを頂いて、それを忠実に立体造形するように努めるのですが、どんなに正確にイラスト描いてもらっても実際に立体として造形するには、多少こちらのアレンジは加わってくるんですよね。
二次元で表現し切れない部分、かと言って立体で誤魔化せない部分。または立体だからこそ表現したら魅力的な部分。例えば頬の膨らみ具合だとか。シルエットのうねりとか。
そういう場合にこちらから提案ですね。「こんな感じどうでしょう?」って。
ぼくの感性で決めるのではなく、提示するようにしています。デジタル造形だといくつかパターンを提示するのが比較的容易なので、選択肢がある場合、依頼者の感性に従おうとしてますね。さらに、いざ立体にしてみたら微調整したくなってくる場合があるので、その際も依頼者の希望に沿いたいと思ってます。限度はありますし大修正は難しいんですが。


原型が完成したばかりのタケヤマノリヤ氏デザイン、ヨシダケンジ(ハムラ堂)の造形作品。

ーーソフトウェアでデジタル造形した後はどうするんでしょう?

造形した後は光造形3Dプリンターで10~20時間くらいかけて出力します。今の時代もはや数年前に100万超えてたようなモノよりもさらに桁違いに性能高いものが10万円とかでもありますよ。
扱いは難しいし材料費も結構かかるのですが、ぼくら個人作家でも最強の武器を手に入れられる時代なんですよね。
ぼくが所有してるのは、先日出た最新の3Dプリンターなんですが、解像度8Kですからね、最強です。美し過ぎてオーバースペックなくらいなので、今後買い換える必要まったく無いでしょうね。出力した後にヤスリとかサーフェイサーで綺麗に表面処理して原型として完成って流れです。粘土で造形した際と同じですね。ぼくの仕事はここまで。その原型をワックス転換のプロへ送ります。

ーーちなみに現在、依頼は原型は3つ造形中と最初にお話しされていました。それ以外にも依頼のお話は来ているのでしょうか?

現在、三面図を用意してくれてて、今月末または来月に始まるのが控えてますね。2つだったかな? 自分の作品も進めてるので、だいたい月に2つか3つくらいしか抱え切れないですが凄く充実してます。ソフビって原型仕上げた後も製品化まで時間かかるので、ソフビ完成は4ヶ月後くらいになるんだと思いますが。

ーー実際このインタビューを読んで「原型を依頼したい!」という方がいた場合どうすればいいですか? 問合せ先はハムラ堂のアカウントでいいのでしょうか?

そうですね。ハムラ堂のホームページにも造形依頼のページ開設してるのでそこからとか。ぼくのTwitterInstagramとかでも大丈夫です。自分の作品がメインではあるので「スタイルが合いそうなら引き受ける」って感じです。造形師それぞれ個性が出るので、合った人がやった方がいいですしね。今んとこ全部引き受けてやってますが。現状、見積もりして10万から15万円くらいで原型制作引き受けてます。納期は思いっきり急げば1ヶ月くらいですね。

ーー最後に造型師・ヨシダケンジとして全国のソフビ者へ一言メッセージなどあればお願いします!

何か言えるような立場じゃないんですが、ソフビって本当に作ろうと思ったらめちゃくちゃな費用かかるじゃないですか。苦労も。でも本当に好きなら、それが一時的な情熱であろうが勘違いであろうが気の迷いであろうが、仕上がった際は本当に楽しい。そしてそれが誰かの心に届くかもしれない。ゼロから何かを生み出すのって本当に素晴らしいですよ。造形なら手伝うのでチャレンジするなら連絡してみてください。
(2023年3月/メールにてインタビュー)

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