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活動歴や作家としての嗜好などMAMESのchami氏にお聞きしました! chami interview

最近はすっかりイベントルポなどの番外編ばかりお送りしていましたが、今回は初心に戻り久しぶりとなる、ひとり(ひと組)のアーティストにスポットを当てその創作の秘密にエビキヨ先生が迫る『エビ沢キヨミのそふび道』です。MAMES編となった「VOL.79~青雲編~ MAMESアトリエ訪問の巻」はいかがでしたか? ここでは改めてMAMESさんの魅力を紹介すべく、その個性や人柄、趣味趣向などを紹介するため、ふたり組のMAMESからchami氏に登場いただきインタビュー。果たしてMAMESは、どのように作家活動をスタートさせ、現在の創作スタイルに辿り着いたのか? 最後は今後の野望なども答えていただき、実に興味深い内容になってます。これを読めばもっとMAMESが好きになる! それではどうぞ!!
インタビュアー■『そふび道』


右はMAMESのchami氏。左はエビキヨ先生

1/MAMESのプロフィールについて

ーー公式プロフィールを聞かせて下さい。

白河剣太狼とchamiからなる芸術家。
全国へ芸術探求の旅をしている。
日本各地の文化、自然、故郷周辺の環境に影響を受けた。
2005年の結成以来、絵画、陶器、立体、写真、インテリア、ファッションデザイン、映像、コラージュ、文筆などの作品を自身の眼に映る世界観を表現し、近年はアートブランドとしてもグローバルに展開中。

2/活動スタートとブランドコンセプトについて

ーーブランド設立年になる活動スタート時期はいつからなのでしょか?

2005年からです。

ーー本格的な活動以前より、やはり様々な創作はされていたと思うのですが、それはどのような創作だったんでしょうか?

空想の世界が自分の世界のすべてでしたので、昔は妖精を描いてプレゼントしたり部屋に飾ったりしていました。
近所に世界のお洋服を扱うお店があって、店主のお姉さんにかまってほしくて今欲しい服をデザインして見せたり。
陶器は小学生の頃に縁があった能登半島 珠洲焼の師匠がいて、師匠のもとで当時はインテリアをイメージして創っていた気がします。
クロッキーもその人から習いました。
小説や詩みたいなものは授業中に書いていました。
閃いたらすぐに手を動かさないと気が済まないので、色々な角度でものを創っていました。

ーーブランド名をMAMESにされたのはなぜですか? 由来などがありましたら聞かせて下さい。

日々のなかにある気づかないくらいの美しさや嬉しさがすきなので、ちいさな喜びから大きな豊かさが生まれるみたいな意味合いが欲しいなと思っていました。
子供の頃から植物の種がすきで、種ってちいさいのに成長したり花を咲かせたり増えたりするのが神秘的で。
「たね」よりは、わたしの背が小さいので「まめ」のほうが合うなと。
調べたら「まめ」という言葉が”まめまめしい”、とか”まめなる”という、古文からも愛のある誠実なもの、という意味が素敵で惹かれました。
自分がひどく真面目なのがコンプレックスでもあるのですが、ひとやものに対して純粋であることが言葉から伝わるような気がして。
ふたりなので、複数形にしてMAMESになりました。

ーーブランドのコンセプト、スタイルはどんなものでしょうか?

だいぶ色々な経験を経て考えも進化と変化をしてきました。
それこそ「まめ」の力で、アートブランドもちいさな喜びから大きな豊かさを目指していきたいです。
愛のある誠実なものづくり。日々のちいさな美しさを大切に、手に取った誰かの思い出と生活を豊かにする作品。
どんなものを創っても、そういうMAMESらしさという世界観は大切にしたいです。

ーースタートは平面作品ですよね? 現在のデザインスタイルに落ち着いたのはいつ頃ですか? 辿り着くまでに苦労された話などあれば聞かせて下さい。

描きたいものが平面に合うとき、これは立体感あったほうが良いねという感じで毎回表現スタイルは決めているかもしれません。
何度も何度も試行錯誤しながら、画風は何度ひっくり返したか分からないくらい。一度定まったものを破壊するのが何も恐怖でなくなるくらいゼロイチを経験しています。
今のスタイルも含めて、ずっと掛け算です。全てが経てきたことで構成した、何をどんな風に表現してもMAMESの根幹と世界観は変わらなくて。
とはいえまだまだ進化中で、これからも色々なことを壊しては再構築しながら都度最高傑作を目指す製作をしていきたいと思っています。

ーーなぜソフビを作り始めたのか? そのきっかけなど具体的に教えてください。

3Dでしか出来ない表現への興味がありました。
“平面では見れない部分を覗ける”ことや、”非現実が現実となる不思議な感覚”というような、360度の世界を製作できる幅広さは”3Dでしか出来ないこと”だというのが選んだ理由として大きいと思います。
特に大量生産では出来ないことや、自分のこだわりをそのまま世に出せるという混じり気のない純度は作家にとって非常に魅力的です。
まずは少し作ってみようというより、単純に”頭の中を具現化できる唯一の手段”という感じでソフビを選んだと思います。
当時の自分にノウハウも全くなかったので手探り状態でしたが
サンガッツさんに造形をお願いし、 自分で一個ずつワンオフを制作するというスタイルでスタートしました。
自作の絵も一点物なので、自然とソフビもキャンバスとして考えていた気がします。
今もその子たちは作り続けていますし、やっている事も変わっていません。

ーーキャラクターなどを創造するときに気をつけていることやこだわりなどを聞かせて下さい。

誰かの空想の一部になる、夢の中で会ったらすぐに遊べるようなキャラクター造りを心がけています。
ともだちになれそうとか、変なヤツだろうなとか、こいつは悪役だなとか。
第一印象が大事です。

ーーこれまでの代表的なお仕事暦を簡単でかまいませんので聞かせて下さい。

自分達の個展を開催しながら、様々なコラボレーションをさせていただきました。
原宿竹下通りで公式のライブペイント、ゲームのキャラクタープロデュース、アートを紹介するテレビ番組などに日本人芸術家のアイコンとしてレギュラー出演していました。映画監督・岩井俊二氏とはバンド「ヘクとパスカル」と連続コラボレーション個展を開催しました。
紀陽銀行のPR用アートワーク、音楽ラジオ局FM802のアートプロジェクトdigmeoutとのコラボグッズの発売、石ノ森プロ、ホリプロ、円谷プロ、永井豪プロ、北斗の拳など素晴らしい作品とのコラボレーションも実現しました。
SONY系列 sonnetより設立した海外MAMESブランドである”妖怪星球”からは様々なプロジェクトがうまれました。
主婦と生活社さんとはリラックマやすみっコぐらしの間でこっそりと「小鬼のブゥ」という漫画を連載させていただきました。
その後に文化庁後援 日本画府 日府展にて水墨画、工芸、写真で受賞入選しました。
などを経てメディコム・トイさんの[VAG]に参加させていただき、フランスのテキスタイル彫刻家のアン・ヴァレリー・デュポン氏とのコラボレーションプロジェクト「MAMES × ANNE VALÉRIE DUPOND」が発表になりました。大きな[JAM]のカスタムでは色々な塗装へ挑戦を、渋谷PARCOの2Gでの個展、アートフェア東京にて作品出品、[BE@RBRICK]では新作を発表させていただき「FLOR@」は全世界展開させていただきました。
波瀾万丈の中で長く応援してもらったり、支えられて今があります。

ーー現在の活動状況などについて聞かせて下さい。

コラボは随時色々な方向性で取り組んでいこうと思っています。
最近はお花関連、農家さんとか、地方創生、カフェやオーガニック系の方などからもよく何か一緒に出来ないかお声がけいただいたりします。
デジタルや科学の分野のデザイン提供やコラボなどの企画もいただいたりするので、今後も柔軟に色々な方向からMAMESの世界観を届けられたらと思っています。
作品通販は不定期で新作を発表しています。
各SNSにて告知があります。
▶︎https://mamesstore.booth.pm/
日本全国の芸術探求旅の様子や、日々の制作日記などはオンラインアトリエにて発表しています。
▶︎https://mames.fanbox.cc/

2/趣味趣向について

ーーMAMESを形作ったルーツについて教えて下さい。これまでに影響を受けたなどクリエイターや作品などについて聞かせて下さい。

凄く最近の話でいえば、梅里窯の窯元です。
徳島県大谷焼の技法を学びに行った際に出会った方で、人間的にも技術も素晴らしく一瞬で虜になりました。
阿波大谷までの旅の話も、オンラインアトリエに詳しく書いています。

ーー子どもの頃から現在まで好きな映画、TVなどの作品とその理由を具体的に教えてください。

子供の頃から現在となると、大好きな作品が溢れてきます。
『アダムスファミリー』『BTF』、黒澤作品、『イレイザーヘッド』『ヤン・シュヴァンクマイエルの短編』『ロッキーホラーショー』……・
どこかユーモラスで洗練された”名作”は、変わらずに大好きです。
自分の実家が『アダムスファミリー』そっくりなので、つい感情移入してしまいます。
子供の頃は祖父が洋画好きで、撮り溜めたビデオを借りては見過ぎて台詞を全部覚えてしまい、学校では独り言で色んな台詞をブツブツ言うものだから映画禁止令まで出てしまいました。
特に大人になって好きなものは、細部のモブのパントマイムにまで徹底的にこだわっている完璧な作品、Jacques Tatiの「PLAY TIME」。もはやここまでくると変態的な彼の彩色美と構図、カメラワーク、全てが作家的で美しいです。そして大変ユーモラス。こんなに完璧なのに、タチの完璧主義嗜好があまりにも完璧すぎるゆえに人間的で可笑しいんです。人間のダメな部分すら微調整をして均等に統一しようとする様が。ちいさな箱庭で人形遊びをしているような世界観で、俯瞰で見ると誰しもが不器用で可愛らしいんだなと気付かされ愛に溢れてきます。
個人的にただ美しいだけのものに興味が湧かず、どこか歪でチャーミングなものが好きです。
誰かたったひとりに理解されるために作ったような、人生の相棒になる作品をひとつでも描きたいと作家にパワーをくれる存在です。

ーー子どもの頃から現在まで好きなキャラクターと、その理由を具体的に教えてください。

幼少期は『グリム童話』と『アンデルセン』に夢中でした。
『赤ずきん』『いばら姫』『ヘンゼルとグレーテル』『ブレーメンの音楽隊』『親指姫』『赤い靴』『雪の女王』……など。少し怖いものは祖母が好きで、古い本棚の奥の方にありボロボロの宝物でした。
特に『人魚姫』は2歳の頃、何度もせがんで読んでもらっていたので丸暗記してしまうくらい大好きでした。壊れかけの録音機器へ読み上げては消してを繰り返して遊んでいたという話を聞いたことがあります。
物語の中のことは史実だと信じていたので「こんなに美しい世界があるんだ!」と胸踊らせていたのです。
足が魚のひとが住む世界は、真珠の王冠を被って海に長い髪を漂わせている。
ひとつのキャラクターというよりも、それぞれの雰囲気や世界が好きなんだと思います。その中に各作家ベースの美醜があること。
現在まで通じて好きだなと感じるのは、そういうちょっと不思議な世界のものです。
あまりに非現実の物語に没頭していたせいか、今思えば、見間違えだと思うのですが……日常でよく妖精や化物達を見つけていました。
また逢いたいと思えるような、怖いけどユーモラスであったり、反対に綺麗でうっとりしてしまう世界観やモノ。そういうのは個人的にも好きでよく描いている気がします。

ーー子どもの頃から現在まで好きなおもちゃと、その理由を具体的に教えてくだい。

昔から紙とペンがあれば1日中夢中でいられます。
カラーマジックをはじめて幼稚園で貰ったときは、あまりの美しさに驚きました。
赤と青のペン先を合わせると一瞬だけ紫になることを発見して、何年も繰り返して楽しみました。
あとは記憶を切り取れるものが好きです。ラジカセやトイカメラ、特に昔は8mmビデオが大好きでした。映画監督の真似事をしたり、即興で撮影した後すぐに巻き戻して不思議な感覚を楽しんでいました。
祖母のレコードプレーヤーも、針を落とした時の音がお気に入りで…壊すまで遊び倒してしまいました。
今はPolaroid sx-70がお気に入りです。
コレクションしているつもりはなかったのですが、気付いたら4台所有していました。
2つずつカラーとB&Wで分けてどこにでも持っていっています。

ーーそうした好きな作品たちに触発されたりしますか? またそれによって制作された作品などがあれば教えて下さい。

「AKASHIC RECORDS3.5」へ出品させていただく今作の「ミチノキオク」「ミチノカケラ」という作品は、Polaroid sx-70で撮影した写真を加工して製作しました。
昔から好きな作品はカケラのようなもので、珈琲なら豆を挽いてくるくるお湯を注いだら静かに螺旋を描いて、ゆっくりと抽出された一滴が今の作品だとしたら、「あれ? 出てきたのは全然違うけど、エッセンスとして存在しているのかな」って感じたりします。

3/新作について

ーー現在、製作されている新作はどのような作品でしょうか? デザインと製作に付いてのこだわりポイントなどあれば聞かせて下さい。

「AKASHIC RECORDS 3.5」にて発表する今製作中の作品のひとつ、「愛の手紙」という陶器シリーズ。
MAMESの世界観に欠かせない、手紙のアイコンをうつわで表現しました。
日本全国の芸術旅の中で知り合った方から、たまに「家でごはん食べていきなよ」ってご馳走になったりするんです。
その時は今まで苦手だったものが食べられるようになることがあって。何でだろうって考えていたんです。ご当地のもので美味しいとか、そういう次元ではない。なんか、根本的に腹の底から嬉しくなる。
食事は、誰かを想う手紙なんだと感じたんです。そういう作品が欲しいなと思って、アトリエに帰宅してすぐ作りました。
ただ、シンプルなだけに物凄く高い技術が必要で完成まで難儀しました。窯元の一つでは、違う作り方を勧められましたが諦められず何度も試行錯誤したので無事焼けた時には本当に感動しました。
この陶器のうつわに何を入れて、誰と、どんな食事をするのだろう。と想像してしまいます。特別な日、晴れの日に秘密のしつらえをして、美しい時間を過ごしてもらえたら嬉しいです。

4/今後について

ーーブランドの今後の展開予定がありましたら聞かせてください。

世界を作りたいです。どんなにちいさくても良いのですが。同じような感覚をもったひとが楽しめるプラットフォームや、場所を作るのが目標です。世の中に好きなものがひとつもなかった、そんなひとが楽しんでくれたら。
その延長線上で様々な喜びがあったり、笑顔をいただけたら幸せです。
今まで世界になかったものを。
そして、次も見たいと永遠に思っていただけるような新作を描き続けたいです。


「AKASHIC RECORDS 3」会場でのchami氏。今後のMAMESから目を離すな!

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