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マルサン、M1号、U.S.TOYSの老舗3ソフビメーカー、海外イベント出店記!!


「G-FEST」にて。真ん中の女性はアメリカでは著名な「ゴジラ」コレクターとのこと。そんな彼女を囲んでご機嫌なU.S.TOYSさんマルサンさん、M1号さんたち(笑)

この夏、老舗ソフビメーカーのマルサン、M1号、U.S.TOYSがそろってアメリカ、シカゴで7月に開催された「ゴジラ」イベント「G-FEST」へ出店! そのM1号とU.S.TOYSが、8月にロサンゼルスで開催されたヒーローイベント「Japan World Heroes」とSF&モンスター系イベント「Days Of The Dead」へ出店。海外イベントといえば最近はアジア圏が隆盛で、アメリカでもインディーズ系のオリジナルソフビイベントなどが多いイメージが強い。そんな現状で、なぜ同じようなタイミングで老舗ソフビメーカーが、アメリカで開催されたライセンス系のイベントへ出店したのか? そもそもアメリカなどの海外では、マルサン&ブルマァクスタイルの怪獣ソフビは、どのように受け入れられているのか? アメリカででソフビやファンの現状について教えていただきたいと思い、3メーカーに取材をお願いした! 老舗3メーカーによる、アメリカへのイベント出店への考え方や、円安という状態下でのアメリカの物価高を目の当たりにした驚きなど、老舗3メーカーのコメントと同時にエビ沢キヨミ先生のイラストを交えてお届けします!

■マルサン編/マルサンタイプの怪獣ソフビのファンが確実に増えてきていると感じています
マルサン代表・神永英司氏INTERVIEW


「G-FEST」でのマルサンブース

――7月にアメリカのシカゴで開催された「G-FEST」へ行かれました。なぜ今回行かれたのですか?

「G-FEST」は今回が初めてなんです。マルサンでの初海外イベントは、2000年のシカゴで開催された「アンティークトイショー」で、そこではソフビではなく当時新作で製作したブリキ製「キャディラック」での出店でした。その後「ソフビも!」ということで当時展開していたオリジナルの『20世紀未来 ロボット防衛隊 テデロス』で、2004年に「San Diego Comic-Con International」へ出展したんです。その後の世界最大級のホラー・イベント「チラーシアター」へ出店し「ゴジラ」や東宝怪獣の「USバージョン」を発売しましたが、当時は正直、あまり売れなかったんです。この時期はマルサンタイプのソフビはファンはいるけど凄く1部の人気な印象でしたね。その後、しばらく海外イベントは行かなかったんですが、2017年に台湾の「Taipei Toy Festival」へ初出展しました。これは日本にいるマルサンのお客さんで台湾の方が増えてきて「ここに出店してほしい!」と言われたのがきっかけでした。出店して驚いたのは、会場が大きくてソフビの出展者が多い。ただライセンスモノはマルサンほか1部で、「Taipei Toy Festival」そのものはオリジナル……いわゆるデザイナー系ソフビの人たち。「こういう世界があるのか……」と知って、この世界でもやっていきたいと思い、久保亜沙香さんのオリジナルを製作しました。その後、コロナになりましたが、海外渡航も再開したし、通販でアメリカのお客さんも増えてきたので、また行ってみようということなんです。

――またそんなマルサンタイプのソフビは、アメリカのファンにどのような印象を持たれているのでしょうか?

アメリカのファンは、好みが分かれてますが、基本的にリアル造形のタイプを集めているファンが多い。そこにマルサンタイプを集めるファン、あと「ヘドラ」などキャラクターにしぼってリアルもマルサンタイプもコレクションするファンがいる印象です。そういう中、昨年出店したアメリカのイベントで、アメリカのメーカー・MONDOさんが発売しているデフォルメタイプの「ジェットジャガー」「ビオランテ」を発見した時、マルサンが初めてソフビを持って行った2005年から20年近く経って、マルサンタイプの怪獣ソフビのファンが確実に増えてきていると思いました。そういうのってSNSなどの広がりから、ファン同士が繋がりやすくなったことも要因としてあると思いましたね。

――海外メーカーさんでデフォルメタイプですか!?

あと日本でも感じることがあります。マルサンは毎月対面で販売するポップアップショップを展開しているんですが、そこでのファンの年齢層が、この2年ぐらいで下がってる。世代的にはバンダイソフビのファンが、時代を遡って「ウルトラマン」ソフビを初めて発売したマルサンであることを知って来てくれたり、たまたま話をしたら常連さんの父親が実は私と同じくらいだったり(笑)。もうマルサンタイプはそういう若い世代が集めてくれているんです。海外でもロサンゼルスで、ポップアップショップをやった時、来てくれたお客さんがアメリカの現役大学生だったりね。昔と比べてファンの年代が完全に入れ替わっている。現地のファンと会うと若いと思います。


ロサンゼルスで開催されたマルサンのポップアップショップ! 確かに客層が若い!

――となる今後もマルサンとしては海外も大きなマーケットに入れて展開ということですね

海外含めて、特にいまは自社版権モノを広げていきたいと考えています。今度、小説が朝日新聞社から発売されるんですが、これもその一環です。マルサンには1970年代に展開したオリジナル怪獣シリーズ「マルモン」があるので、この小説はそれをベースにしています。結構、外人に「マルモン」ファンが多いんですよ。あと海外に向けて、リアル造形タイプもアピールしたいと画策していますので、それは今後を楽しみにしててください。

――リアル造形も!? 続報に期待してますね!!


「G-FEST」会場で神永英司氏(マルサン代表)はトークイベントも開催。英語も堪能な神永氏はここでマルサンの歴史を語った。アメリカのファンもマルサンの歴史に興味津々なのだ!

■M1号編/日本のメーカーが直接イベントへ出店するのは、アメリカのファンにとって楽しみなんですよ!
M1号代表・西村祐次氏INTERVIEW


「Japan World Heroes」でのM1号ブース

――アメリカの海外イベントなどへ出店する理由を教えてください

出来るだけ海外のファンにも安くソフビを買ってもらいたいと考えているからです。海外から我々のメーカーのソフビを購入しようとすると、誰かに頼むことになるから、どうしても経費などで高くなってしまいますから。また「自分でこういう色に塗った!」というアメリカのファンも多いんです。そんなファンに直接、M1号のソフビを見てもらうことで「彩色など参考にしてほしい」という思いもありました。逆に日本のメーカーが直接イベントへ出店するのは、アメリカのファンにとっても楽しみなんですよ。

――改めてアメリカなどでM1号などのマルサン&ブルマァクタイプのソフビはどのように受け入れられているんでしょうか?

M1号のようなソフビのファンはアメリカにもちゃんといて、マルサンやブルマァクなどからの流れを素直に受け入れている印象があります。ファン層は若い方もいるし年配の方もいる。「塗装の参考にしたい!」や「自分で塗ってみた!」というファンから「未彩色版が欲しい」と要望されたりもしました。またアメリカでは「M1号のソフビを見て、自分も作るようになりました!」というメーカーさんや個人の方から自分で製作したソフビをいただくこともあります。今を楽しんでいる感じですね。


「G-FEST」や「Japan World Heroes」での出展ブース。ソフビも結構見受けられる


日本のインディーズメーカーのような製作&取り扱っているディーラー


日本でもお馴染み、PaulKaiju氏の姿も!

――日本のインディーソフビの状況に近い感じの出店者たちも多くいるのですね

そうですね。あとアメリカではカラフルカラーが好まれます。それはブルマァクのいしづき(三郎)さんが「アメリカ人はカラフル好きだから、彩色では1色足しました」と発言されていますが、今も同じなんですね。それは感じます。そういう意味で言うと、いしづきさんは、もう50年も前にそういう海外ファンのことを見抜いていたんですから素晴らしいと思います。

――彩色がもの凄く凝ってて高額なアート系のソフビが最近流行ってますよね

M1号は海外でも出来るだけ「安く、安く」としか考えてないんです。それは、1960年代のマルサンや1970年代のブルマァクの世界のように「その時間内に何体彩色できるか?」ということなんです。1日100体塗れたら100体分のバイト代が入る。それで「今日の晩飯を何にするのか?」という話です。だから月産何万個という注文が来たら、それに応えて塗らないといけない。そのため、どんどん塗りが簡単になったりする。M1号でも「忙しいバージョン」とかたまにやっていますけど、それもありで塗ってて、そこに主張に入ればいいと思うんですよね。

――今回のアメリカはその辺を改めて再認識したと言うことでしょうか?

そうですね。特に私たちのようなソフビを製作している場合は、やはりマルサン&ブルマァクのこうしたスピリットを無くしてはダメ……私たちはマルサン&ブルマァクで育ち、それがやりたくてここまで来てますから。凄い色数で彩色して数個限定で何万円ということをウチは一切やらないです。だって多くのファンが買ってくれないと広がりませんから。さすがに1体5万円~10万円ってお金持ちしか買えないし、お金持ちのためのソフビではないと思いますから。だから彩色でも手数少なくして、出来るだけ時間内に、どれぐらい魅力のあるソフビが塗れるか! それがいつも課題ですね。そこはマルサン&ブルマァクがやろうとしていたことを継承しないとね。

――アメリカのお客さんにも伝わってるから買いに来てくれるんですよね

そう思います。

――ぜひ今後も、もっともっとアメリカのファンにマルサン&ブルマァクを伝承してください!

■U.S.TOYS編/今回の海外イベントは本当にうっかりでした(苦笑)。収穫はパチモノ「V3」と「ライトセーバー」!
U.S.TOYS代表・たまさんINTERVIEW


「Japan World Heroes」でのU.S.TOYSブース

――今回、アメリカのイベントへ行かれました。なぜ行かれたのですか?

M1号さんにお誘いいただいたからです。本当は4年前に予定していましたがコロナの影響で予定が伸び伸びになっていのが、今回ようやく実現したんです。

――U.S.TOYSさんたちのようなソフビはアメリカのファンにはどのようなイメージなのでしょう?

やはり好きなファンはごく1部な印象でしたね。基本的にはリアル造形タイプのファンが多いかな……それでサイズはミニサイズより、大きなサイズが好き。そこは家など広いし置く場所に困らないということなんでしょうね。そのためウチのような小さいサイズがメインだと非常に厳しかった。大きいサイズは売れてくれたので良かった。イベントゲストにもよる感じですが、印象としては「ウルトラ」系より「ゴジラ」の方がやや強いかな……。そうそう「Japan World Heroes」は、桜井浩子さんもゲストということで、今回一緒に渡航したんですね。それで、こちらも期待を込めて準備したんだけど、会場のファン層が完全違う感じ……そこはアメリカで放映中の「戦隊モノ」や「仮面ライダー」のファンがメインだったんです。「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」は当時、放送されていたけど、それ以降、放送されてない。最初に知っていたら、もっと「戦隊&ライダー」系で準備してきたのに……これは本当にうっかりしました。ただ桜井さんのサイン会は流石、多くのファンが並んでて盛況でしたよ。もうひとつの「Days Of The Dead」は、この時期ってアメリカは、もうハロウィンみたいで、来場するお客さんは皆さんハロウィンコスプレで、誰もウチのミニソフビ、買ってくれない……イベントは3日間ですが、暇でした(苦笑)。結局、今回のメインイベントは、ハリウッドで手形を見たり、ディズニーニーストアへ行ったりする観光でした。アナハイムのディズニーランドでは、目的だった「ライトセイバー」を作りました! 4種類のメインパーツの中からひとつ選んで、そこに着けるパーツを選んでカスタムして、自分仕様の「ライトセーバー」が作れるんですよ。それはサイコーでしたね!


ハリウッド観光ではお馴染みの手形! そしてディズニーランド観光で製作したという「ライトセーバー」

――今回はなかなか思い出深いアメリカ行きだったんですね!

あとね「Days Of The Dead」会場から少し車で行った場所でアンティークショーをやってるというので、連れて行ってもらったんです。そこでは日本のおもちゃが沢山売られてて「こっちに出た方が良かった!」と思いました(笑)。そこで長いことアンティークモノを扱っている私ですが、初見のパチモノ「仮面ライダーV3」ソフビを見つけたんです。本物はブーツが抜けたり、ベルトが外れたり、マスクも抜げるけど、これは何も着脱出来ない……でも造形がしっかりしてて意外と悪くないので購入してしまったんです!

――海外の成果は「ライトセイバー」「仮面ライダーV3」のパチモンということで!


U.S.TOYさんの海外の成果というパチモノ「仮面ライダーV3」ソフビ!

■海外イベントの思い出いろいろ!


「Japan World Heroes」では、桜井浩子さんと造形家・若狭新一氏も来場しサイン会を開催。運悪く史上最大のハリケーンに見舞われたが、会場には多くのファンが詰めかけた。濃いファンはどんな状況になっても会いに来るのだ!


実は当初「Days Of The Dead」への出展予定はなかったというM1号とU.S.TOYS。しかし「Japan World Heroes」翌週に同じロスで開催の「Days Of The Dead」へゲスト予定の古谷敏氏ご本人より連絡があり合流することになったという


アメリカへは「個人的にディズニーランドにも行きたいというのも理由でした」という西村氏。また「Days Of The Dead」は大きなイベントで『エイリアン2』や『プレデター』の役者さんたちがゲストで来場。写真は『エイリアン2』の「ジェニット・バスクエス」役のジェニット・ゴールドスタインさん。西村氏は「M1号の物販より役者さんたちにサインを貰う方が楽しかったです」とごきげん!


ゲストといえば「Japan World Heroes」では『ブレードランナー』で大きなビジョンに映る芸者ガールのシーンがあるが、なんとその役だったアレクシス・リーさんも来場! 西村祐次氏も「感動しました!」という。また10月に行ったモンスタ&クリーチャー系に特化したイベント「MONSTERPALOOZA」には『ブレードランナー』の「ゾーラ・サロメ」役ジョアンナ・キャシディさんもゲストで来場! もちろん西村氏はサインをもらいご満悦!


「Days Of The Dead」では『ウルトラマン』37話「小さな英雄」登場の「友好珍獣 再生ピグモン」でスーツアクターだった千葉裕氏も来場! ここで製作した「ピグモン」のアイデアにより、この後、開催された日本の「スーパーフェスティバル」で発売


アメリカの物価に「本当に高くてビックリしました」とU.S.TOYSさん。ホテル内のスターバックスで1サイズしかないラージコーヒー2つ、ハム&チーズのクロワッサン2つ買ったら24ドル……円で3000円越え!! またホテルの出店でお弁当売り場で、バーベキュー弁当をふたつ買ったら44ドル……


U.S.TOYSさんはアメリカの物価の高さを嘆いていたが、西村氏によると「イベントではドルで売って、食事や買い物はドル払いだから、そんなに痛い出費とは思いませんでした。行く時、日本でドルに換金してないんです。アメリカのでの支払いは、クレジットカードは一切使わず全て現金。ドルの売り上げを日本で換金すると今までより増えるので今は、日本からアメリカへ行ってガンガン売る方が儲かります(笑)。そうはいっても、いろいろ物価は高いですけど、せっかくロサンゼルスなど海外へ行くんだから、そこででしか食べれない食事をしないと。そこは贅沢しようと思いますね」と海外をエンジョイ!

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