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メディコム・トイソフビとソフビ界の2016年下半期~2017年上半期を振り返る 赤司竜彦 Interview

メディコム・トイソフビとソフビ界の2016年下半期~2017年上半期を振り返る 赤司竜彦 Interview
恒例の赤司竜彦氏(メディコム・トイ代表取締役社長)インタビューだが、今回は復活した『ハイパーホビー』(徳間書店刊)の『そふび道』と連動して掲載! 『ハイパーホビーVol.3』掲載分(発売中)では「ライセンス編」。そして2017年8月5日発売『ハイパーホビーVol.4』掲載分は「アーティスト編」。このどちらにも入りきらなかった内容をsofvi.tokyoで公開! 毎回恒例になっている初コラボアーティストへの赤司代表のひと言や、現在のソフビ界についての印象など、実はソフビ者的に最も興味あるのはこちら? 同時アップされる2016年下半期~2017年上半期コレクションとともにご覧下さい! ちなみに前回の「2016年上半期編コレクション」とインタビューはこちら! 1度、復習してから今回のインタビューを読むと、さらに深くソフビ界を感じることが出来ます! もちろん『そふび道』もチェックよろしく!

1/メディコム・トイのソフビで各アーティスト&メーカーとの初コラボについて

ーー改めて国内外の作家&メーカーさんについて、どのようにチェックされているのか教えて下さい
作家さんに関してはケースバイケースです。InstagramなどのSNSを見て「いいな」と思ってコンタクトを取ったり、向こうからお声がけいただいたり、知り合いのメーカーさんから「やりたがっているんですけどどうですか?」と紹介されたり本当にいろいろです。私は、基本的になんでもOKですから。

ーーそして今回、初コラボとなったメーカーさんについてひと言いただければと思います。
TAN:MIMI MONSTER(デーモンカラー)、MIMI MONSTER(KAIJUカラー)
TANさんは海外の方です。最初に別の粘土原型をInstagramで見て「やりたい!」という話をしたら「まだ出来てないから先にこっちをやらないか?」と言って紹介されたのが「MIMI MONSTER」だったんです。あっという間に売り切れましたね。日本よりも海外からのオーダーが多かったです。

UNBOX DIGITAL:HAND OF GLORY(青蓄光版)
これはUNBOX DIGITALさんからの売り込みです。UNBOX DIGITALさんは最初、マスプロダクツなメーカーさんで以前量産品のご提案もありましたが、現在は軌道を変えて作家性の強い作品を少量ずつ生産する方向へ変更されています。ただどういう背景でアーティストの作品を製作しているのか? よく解ってないんです。ただ言えることはUNBOX DIGITALさんも、アメリカやヨーロッパでソフビを作る作家たちの受け皿になっているという印象ですね。向こうからオファーがあってモノとしておもしろければ、メディコム・トイがバイイングさせていただいているケースが多いという関係ですね。

ALIEN PARK:HARRY(魍魎)
彼はAngel Abbyからの紹介です。もともとALIEN PARKは、すでにInstagramでもの凄く話題で「人気のある子なんだな」と思っていたんです。キャラクターデザインや方向性は、フランスのあるアーティストの香港版というイメージでしたね。「人気が出るのは分かるな」と思っていたら、これも海外のファンにあっという間でしたね。

C-toy’s:Babababa ギガラメ、Babababa チョコミント
これはC-toy’sさんから会いたいという連絡を頂いて「せっかくだからやりましょう」ということからやらせていただきました。

play:ボルテスV
これは知り合いのお客さんから「合体変形する『ボルテスV』はやらないんですか? 欲しいんです!」と言われてたことがきっかけでした。確かに「いいね」という話になって、それでInstagramとかでコンタクトをとったらOKになったという感じでした。熱烈なファンによって実現した企画ですよ。

MILKBOY TOYS:IT BEAR
もともとMILKBOYさんとは私のソフビ友達っぽい繋がりにいらっしゃった方なんです。それでKENTH TOY WORKSさんの原型で「今度ソフビをやる」という話を聞き「1回何かやりましょう」という所からでした。

HAPPY LUCKY TOY:猿獣王
確かInstgramで見て、コンタクトを取った記憶があります。HAPPY LUCKY TOYさんが使っている成型屋さんが私が知っている所というSNSでの書き込みを見て「そうなんだ」なんて思ってて、それで「ご一緒しましょう」という所からでしたね。

Mラビット:ブルブル(ブラックバージョン/レッドバージョン)
以前から存じ上げてはいましたが、ここ数年は活動がストップしていたんです。久しぶりに再起動させたいという相談を受けてお付き合いさせていただきました。

BIG MOON AIZ:魔神惑星MEDUSA-DRAGON-02
BIG MOON AIZさんは、突然メディコム・トイのショップを訪れて「渡してください」って私宛にソフビを置いていったんです。それを恐る恐る開けたら「いい!」ってことからご一緒することになりました。凄い情熱だと思いました。CDが付属したり音楽を連動させてソフビを展開するコンセプトみたいなので、最初「ミュージシャンがソフビをつくっている?おもしろい切り口だな」と思っていたら、実は音楽は別の人が作っている……そんなふたりのユニットみたいですけど、よく分からない。その辺が紐解けるとおもしろいと思いますね。

COMETDEBRIS:Oni Kid(ギガラメ)
COMETDEBRISさんは、メディコム・トイのスタッフに大ファンがいて「どうしてもやりたい!」というので「キミが口説いてきなさい」と話をしてそこからです。これはとても評判が良かったですね。

山吉屋:未来猿人ヤマキチ(メディコム・トイ限定カラー)
以前まだGEEK LIFEの時に1度お話したことがあります。セガさんのコンテンツである「スペースハリアー」というゲームキャラクターをソフビ化されたり、おもしろい事をやっているなと思っていました。最初はレトロソフビではなく、違う所から来た人という印象がありましたが、ベタなソフビとしてオリジナル展開したいと軌道修正されたんだと思うんです、ヤマキチの原型はヤマダマサミ(レトロソフビ原型師として知られる)さんですよね。改めて山吉屋さんからご連絡をいただいて「やりましょう!」という感じでした。今、実にスタンダードなソフビを作り始めてて、結構稀有な存在になりつつあるのでがんばってほしいと思いますね。

PUNK DRUNKERS:あいつ(MEDICOM TOY PLUS限定カラー)
PUNK DRUNKERSさんとは、常に付かず離れずで色んな事をやってますね。実は代表の親方とは、メディコム・トイのスタッフが高校の同級生でもある。そんな所や今、非常にソフビが盛り上がってる事もあって「せっかくなのでMEDICOM TOY PLUSの1周年でご一緒しましょう」みたいな話からだったと思います。

ラヂオレコーダーズ:ポータブルポップちゃん(メディコム・トイ限定カラー)
デビューしたばかりのメーカーさんですよね。これも「ポータブルポップちゃんをやりたいです」というメディコム・トイのスタッフがいて「相談してみよう」という所からご快諾いただいた感じでした。凄くかわいいし、今までのメーカーさんとは、また少し違ったオシャレで独特なニオイがするので、この先が楽しみですね。

よろず雑貨えびねこ屋:えびねこ(メディコム・トイ限定カラー)たいこばん
去年の暮れか今年の頭ぐらいから気になってて、お声がけしたら「別注は初めてです」というお話からやらせていただくことになりました。「原型も自分で作られるんですね」と聞くと「頼み方が分からないからです」という答えが返ってきて「それでここまで作れるのは凄い!」と思いましたね。商業イラストレーターとしての側面もお持ちで、いろんなタッチで描き分けることが出来る方なので、まだ内緒ですが今後も幾つかお仕事をご一緒しようと準備しています。

木内歯科医院:臼歯のキューシーちゃん(First Issue)
木内歯科医院さんとは不思議な同時代性があって、たぶん世の中に私と彼しかいないと思うんですけど、サイバーニュウニュウとおもちゃが大好きな人間なんですね(笑)。サイバーニュウニュウ復活ライブの時に、初めてお会いして「メカ・エルビス人形作ってくれてありがとうございます」って「この人は誰だろう?」という出会いからお付き合いが始まったんです。それでソフビを作っているという話を聞かされたんですが、手伝っていたのが知り合いのFRENZYさんで。それでカンキャラとして大事に育てたいと言うことだったので「お手伝いします」という感じからでした。ミュージシャンのサエキけんぞうさんやGReeeeNのように歯医者でソフビ作ってもいいじゃんと思いました。とにかく歯の中で1番かわいいのが臼歯だそうで、凄くこだわりがあるみたいです……よく分からないですよね(笑)。

2/最近のソフビ界について

ーー最近のソフビ界全体を振り返っての感想を聞かせてください。
本当にアジア圏の方が作り手としてもお客さんとしても、もの凄くマーケットに参入している印象があります。しかもイベントでは早く並ばないと買えないからという所から、最近では偽造パスを作っちゃう人まで出る始末で・・・。日本のファンがなかなか買い辛くなっている環境は「スーパーフェスティバル」しかり、「WF」しかりです。このノリはいろんな所からあると思うんです。生産を日本でしている香港アーティストもいますけど、香港で作っている香港のアーティストが日本で売ることにステータスを感じているみたいな部分もきっとある。また特に売り手側の思想として、どこで売っているのか分からないけど気がつくと完売してて、セカンドマーケットで高値になってるのがカッコイイみたいな風潮がありますよね。あまりそれはヘルシーではないなという気がしています。

ーー当初、今のアジア圏の状況は、2007年ごろに盛り上がった北米のノリに近いのかなと思っていました。それは2010年ごろふわっとしてしまいました。今のアジア圏のノリも昨年末をピークに今年は落ち着くのでは? と思っていたんですが、ますます熱を帯びているようにも感じます。
いわゆる北米でのソフビの盛り上がりは、最終的に「ヒカリマァク」や「POP」など海外メーカーのシリーズに集約された気がしています。また日本以外のアジアマーケットも日本をひとつのきっかけにして盛り上がり、独自マーケットを形成しつつあるような気がしています。例えばALIEN PARKやTANは、日本のサイトで販売したけど買うのが海外ファンという、とてもアンビバレンツな構造ですね。もしかするとそんなに遠くない未来、割とアジアはアジアンマーケットとしてスピンオフするのではという気がしています。私はそれはそれでいいかなと思っていますね。生産が香港で、アジアのアーティストで、メインがデジタル原型で、それにアジアのファンの子達が付いているという構造もなんとなく見えていますし。

ーー1番怖いのは例えばアジアンマーケットがスピンオフして日本が取り残された時、完全に日本のファンやマーケットが冷えてしまうのではということなんです。
その辺の抑制に[VAG]がなってくれればという気持ちはありますが、確かに凄く狭い枠の中で外に向かって熱が出ちゃってる状況は危惧していますね。

ーーその意味で[VAG]の役割は大きいと思います。結局、買えないと絶対に広がりませんからね。このアジアの熱量が日本の作家たちに刺激を与えて逆に何か新しいモノが生まれたら……とも思いますが……。
その辺はどうでしょう……良い方向に転がってくれることを願うばかりですね。各メーカーさんがどんな風に考えてらっしゃるか? また実際に海外へ向けていろんな作家さんが行脚する、この何年間でそれぞれどんなポジションなっていくのか? というのが凄く興味があります。それこそこの先は、今後の自分たちの立ち位置を問われる1~2年になるという感じがしますね。まあこうした混沌からしかおもしろいモノは生まれてこないですからね。

3/最近の生産事情について

ーー次に最近は工場の状況など制作現場も大きく変化して、なかなか成型が上がってこないなど各メーカーさんから聞かされます。このような制作環境の変化についてどのように感じていますか?
現在、去年の後半に都内の金型屋さんがひとつクローズしたことで、残った金型屋さんは詰まっている。でも成型屋さんは手が空いているという印象ですね。というのは5月の終わり頃、BRIDGE SHIP HOUSEから「これを7月にやりたい!」と言われて、成型屋さんに確認したら「大丈夫ですよ」と言われましたから。成形品が上がってこないという作家さんやメーカーさんの状況って、よく分かりませんが例えば、ある成型屋さんとしかお付き合いがなくて上がりが遅い上に、そこへたまたまアジアの作家たちの成型依頼が大量に入っているという状況じゃないかなと思います。相対的に金型屋さんが詰まっている分、成型屋さんや彩色マスク屋はさんは意外と手が空いていると思います。そこは循環していくので金型が上がってこないと、皆さん仕事が出来ませんからね。

ーー確かにそうですね。気になっていたのですが、メディコム・トイさんが工場を持つということはないんですか?
それに関しては環境的に作ろうと思えば出来ないことはないと思っています。でももしやるなら自分が信頼おける人とやりたいというのがあります。ただ現在は生産背景だけで言えば、困ってませんし逆に今、工場を作ってしまうとメディコム・トイとお付き合いする工場さんが困るという結局はその辺ですね。それこそ分かりませんが例えばドリームロケットさんが「工場をやりたい!」と言ったら考えると思います。「小さい所から始めましょうか」みたいな気持ちは全然あるんですけど、自分たちで作った方が安く出来るというスタンスでは、あまり考えてないですね。どうしても職人さんを抱えると、それはそれで大騒ぎだから、今はまだいいかな……という感じですね。
(6月8日/メディコム・トイ本社にて収録)

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